科研費研究会
The Narrative of Arthur Gordon Pym of Nantucketに見る先住民イメージ——ジャクソニアン・デモクラシー時代の Dirk Peters像
The Narrative of Arthur Gordon Pym of Nantucketに見る先住民イメージ——ジャクソニアン・デモクラシー時代の Dirk Peters像
講師:小澤奈美恵(立正大学教授)
日時:2022年 7月 26日(火)午後 9:00(日本時間)/午前 8:00(アメリカ東部時間)
研究代表者:下河辺美知子(成蹊大学)
研究分担者:巽孝之(慶應義塾大学)、舌津智之(立教大学)
※ Zoomによるオンライン開催
※ 参加ご希望の方は、mayflower.compact.41●gmail.com(●→@)小泉までメールでお申し込みください。
【概要】※フライヤーより抜粋
本基盤研究(B)はメイフラワー・コンパクトが内包していた「排除/包括の理論」をさぐることによって、環大西洋文化を再定位し、アメリカ中心に進んできたグローバリゼーションの向かう方向を、環太平洋的視座も連動させつつ見定めることを目的としている。
今回は、The Narrative of Arthur Gordon Pym of Nantucket(1838)におけるDirk Peters という混血の先住民像に焦点を当てる。そこには、17 世紀に新大陸へ渡り、キリストの統治する千年王国を築こうとしたピューリタンの理想主義的神権政治から、強制移住法を推進した世俗的ジャクソニアン・デモクラシーへと切り替わる過渡期の隠喩が埋め込まれていることを論証していきたい。
Dirk Peters はアプサロカ族(Apsaroka/Absaroka)とされているが、この部族はCrow 族とも呼ばれ、雷を引き起こす神話的黒鳥やブラック・ホーク像とも関連性が考えられる。ポーの大鴉の象徴性に発展する可能性とともに、ナラティブの後半に現れる巨大な白い鳥とも対峙する存在である。
また、ポーの時代には、ピューリタンの伝統として先住民をイスラエルの失われた十部族と見なす考え方も相変わらず根強く、ジャクソン大統領の強制移住法やマニフェスト・デスティニーの消えゆく野蛮人のイメージと拮抗していた。この作品には、この二つの相克も隠喩的に表現されている。
本発表では、こうした19 世紀の先住民像を分析しながら、メイフラワー・コンパクトと先住民の排除・包括の関係性を考察していく。
【関連リンク】
- 科学研究費・基盤研究 (B):「メイフラワー・コンパクトにおける「排除/包括の理論」と環大西洋文化の再定位」プロジェクトウェブサイト
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