『脱領域・脱構築・脱半球——二一世紀人文学のために』
Extraterritorial, Deconstructive, Trans-hemispheric: Humanities Unbound in the 21st Century
監修:巽孝之、編著:下河辺美知子、越智博美、後藤和彦、原田範行
A5判上製、554ページ
小鳥遊書房、2021年 10月 1日
本体 4,800円+税
ISBN: 978-4-909812-70-4
【目次】
はじめに:人文学の未来と批評的想像力(巽孝之)
第一部 特異点としてのアメリカ
- 第一章 異性愛の桎梏——サムソンとデリラをめぐるアメリカ的系譜学(舌津智之)
- 第二章 アサイラム・ファミリー——『七破風の屋敷』における家族・国家・未来(古井義昭)
- 第三章 文学するニューヨークのイギリス詩人——W・H・オーデンの「見るまえに跳べ」を読む(圓月勝博)
- 第四章 一七六〇年五月一日のトマス・ブレイ協会月例会——サミュエル・ジョンソンのアメリカ(原田範行)
第二部 感受性の在りかとしての身体
- 第五章 幽霊のゆくえ——ヘンリー・ジェイムズの超自然小説(水野尚之)
- 第六章 錯乱のコズモポリス——『マーティン・ドレスラー』におけるポストヒューマン的身体としての「ホテル」(渡邉克昭)
- 第七章 ウィリアム・ゴドウィンのゴシック小説再考——理性と感受性のあいだ(小川公代)
- 第八章 崇高な「気持ちの悪さ」——ジェイムズ・ジョイス「イーブリン」の体調不良をめぐって(阿部公彦)
第三部 人文科学が戦争にむきあうとき
- 第九章 被害者と加害者のあいだで——第二次大戦小説としての『スローターハウス5』(諏訪部浩一)
- 第一〇章 ブラック・アトランティックへの船出——第一次世界大戦とイーディス・ウォートン(新田啓子)
- 第一一章 ツインタワーの幻影——ジェイ・マキナニー『グッド・ライフ』における 「対」のモチーフ(渡邉真理子)
- 第一二章 「南部史のアイロニー」と太平洋戦争——C・ヴァン・ウッドワードと南部ルネッサンス(越智博美)
第四部 批評というパフォーマンス
- 第一三章 幸せになるために——POEtic Principleの行方(池末陽子)
- 第一四章 現前する無の唯物論——「ポスト」に抗う文学批評のために(遠藤不比人)
- 第一五章 「文学性」の概念をめぐって——ポール・ド・マンと文学研究の終焉(大河内昌)
- 第一六章 誰がために批評家は語るか——「趣味の共同体」から〈わたしたち〉の再創造へ(中井亜佐子)
第五部 限りなく地球的な交響
- 第一七章 デフォー『ペストの記憶』とカント『地震論』——大災害と世界観の変容(黒崎政男)
- 第一八章 女・性と歴史——『響きと怒り』と『或る女』より(後藤和彦)
- 第一九章 一九世紀アメリカ空間を二一世紀に分析する——『ピエール』における場所の喪失(下河辺美知子)
【代表的批評家 30:交響する理論】
- Ivor Armstrong Richards: 方法としての「実践批評」(町本亮大)
- F.O. Matthiessen: キリスト教信仰と社会主義との交錯 (高尾直知)
- William Empson: 帽子からウサギを出す(David Ewick)
- Cleanth Brooks: 聖なる壺としての文学、あるいは精読のツボをもとめて(石川大智)
- Roland Barthes: 可能性のエクリチュール(野崎歓)
- Leslie Fiedler: 人種関係から読み解くアメリカ文学 (辻秀雄)
- Leo Marx: アメリカの楽園志向と自然征服の矛盾 (宮脇俊文)
- Paul de Man: アレゴリカル・アポリア (土田知則)
- Michel Foucault: 文学と知の言説 (小倉孝誠)
- George Steiner: 二十世紀批評の極北 (高山宏)
- Jürgen Habermas :討議する哲学者、18世紀と現代をつなぐ (若澤佑典)
- Jacques Derrida: 「われらの困難」 (鵜飼哲)
- Sacvan Bercovitch: アメリカの象徴を読み解くThe American Jeremiad (佐久間みかよ)
- David Lodge: 散文の襞の紋様 (田中裕介)
- Tony Tanner: 文学批評におけるマクスウェルの悪魔 (波戸岡景太)
- Edward Said: 日米マイノリティ言説と「旅する理論」としてのオリエンタリズム (中村理香)
- Shoshana Felman: 誘惑する批評 (鈴木英明)
- Michael T. Gilmore :アメリカン・ルネサンスの継続する闘争を豫言する (伊藤詔子)
- Gayatri C. Spivak :批判的地域主義としての惑星思考へ (岡和田晃)
- Werner Sollors :人種・エスニシティ・言語的多様性に注目したキャノンの再構築 (有光道生)
- Stephen Greenblatt:「新歴史主義」から新評伝研究へ (井出新)
- Terry Eagleton :文化革命の感情構造 (大貫隆史)
- Jonathan Culler :力(フォース)のフォルマリスト (折島正司)
- John Carlos Rowe: 歴史を解体する視線 (松井一馬)
- Barbara Johnson: 脱構築とブラック・フェミニズムの出会い (佐久間由梨)
- Cathy N. Davidson :革命を読み、革命を起こす (田辺千景)
- Shelley Fishkin :一通の手紙が変えた文学研究 (里内克己)
- Judith Butler :予め喪われたものへの愛について (貞廣真紀)
- Paul Giles: トランスナショナリズムからグローバリゼーションを超えて (竹内勝徳)
- Wai Chee Dimock :自由の帝国からディープな惑星へ (牧野理英)
あとがき 下河辺美知子
【関連リンク】
- 小鳥遊書房
- 巽先生が名誉教授にご選出されました!&藝文學会『藝文研究』最新号は「巽孝之教授退任記念論文集」です!(CPA: 2021/04/02)
【関連書籍】
慶應義塾大学藝文學会『藝文研究』巽孝之教授退任記念論文集(第 119号第 1分冊、2020年 12月)