2021/10/10

巽先生の退職記念論集第二弾『脱領域・脱構築・脱半球——二一世紀人文学のために』が小鳥遊書房より刊行されました!

慶應義塾大学藝文學会の機関誌『藝文研究 巽孝之教授退任記念論文集』(第 119号第 1分冊)にひきつづき(※CPA詳細)、巽先生の退職記念論集第二弾『脱領域・脱構築・脱半球——二一世紀人文学のために』が小鳥遊書房より刊行されました!本書は、監修を巽先生が、編集を下河辺美知子先生、越智博美先生、後藤和彦先生、原田範行先生がおつとめになられています。巽先生による序文「人文学の未来と批評的想像力」につづき、前半は五部構成——第一部「特異点としてのアメリカ」、第二部「感受性の在りかとしての身体」、第三部「人文科学が戦争にむきあうとき」、第四部「批評というパフォーマンス」、第五部「限りなく地球的な交響」——、全 19本の論考を収録するほか、後半は「交響する理論」と題して代表的な批評家が 30人取り上げられ論じられています(下記の目次をご覧ください)。約 550ページにおよぶ大著!ぜひご一読ください!

『脱領域・脱構築・脱半球——二一世紀人文学のために』
Extraterritorial, Deconstructive, Trans-hemispheric: Humanities Unbound in the 21st Century
監修:巽孝之、編著:下河辺美知子、越智博美、後藤和彦、原田範行
A5判上製、554ページ
小鳥遊書房、2021年 10月 1日
本体 4,800円+税
ISBN: 978-4-909812-70-4

【目次】
はじめに:人文学の未来と批評的想像力(巽孝之)

第一部 特異点としてのアメリカ
  • 第一章 異性愛の桎梏——サムソンとデリラをめぐるアメリカ的系譜学(舌津智之)
  • 第二章 アサイラム・ファミリー——『七破風の屋敷』における家族・国家・未来(古井義昭)
  • 第三章 文学するニューヨークのイギリス詩人——W・H・オーデンの「見るまえに跳べ」を読む(圓月勝博)
  • 第四章 一七六〇年五月一日のトマス・ブレイ協会月例会——サミュエル・ジョンソンのアメリカ(原田範行)

第二部 感受性の在りかとしての身体 
  • 第五章 幽霊のゆくえ——ヘンリー・ジェイムズの超自然小説(水野尚之)
  • 第六章 錯乱のコズモポリス——『マーティン・ドレスラー』におけるポストヒューマン的身体としての「ホテル」(渡邉克昭)
  • 第七章 ウィリアム・ゴドウィンのゴシック小説再考——理性と感受性のあいだ(小川公代)
  • 第八章 崇高な「気持ちの悪さ」——ジェイムズ・ジョイス「イーブリン」の体調不良をめぐって(阿部公彦)

第三部 人文科学が戦争にむきあうとき
  • 第九章 被害者と加害者のあいだで——第二次大戦小説としての『スローターハウス5』(諏訪部浩一)
  • 第一〇章 ブラック・アトランティックへの船出——第一次世界大戦とイーディス・ウォートン(新田啓子)
  • 第一一章 ツインタワーの幻影——ジェイ・マキナニー『グッド・ライフ』における  「対」のモチーフ(渡邉真理子)
  • 第一二章 「南部史のアイロニー」と太平洋戦争——C・ヴァン・ウッドワードと南部ルネッサンス(越智博美)

第四部 批評というパフォーマンス 
  • 第一三章 幸せになるために——POEtic Principleの行方(池末陽子)
  • 第一四章 現前する無の唯物論——「ポスト」に抗う文学批評のために(遠藤不比人)
  • 第一五章 「文学性」の概念をめぐって——ポール・ド・マンと文学研究の終焉(大河内昌)
  • 第一六章 誰がために批評家は語るか——「趣味の共同体」から〈わたしたち〉の再創造へ(中井亜佐子)

第五部 限りなく地球的な交響 
  • 第一七章 デフォー『ペストの記憶』とカント『地震論』——大災害と世界観の変容(黒崎政男)
  • 第一八章 女・性と歴史——『響きと怒り』と『或る女』より(後藤和彦)
  • 第一九章 一九世紀アメリカ空間を二一世紀に分析する——『ピエール』における場所の喪失(下河辺美知子)

【代表的批評家 30:交響する理論】
  • Ivor Armstrong  Richards: 方法としての「実践批評」(町本亮大)
  • F.O. Matthiessen: キリスト教信仰と社会主義との交錯 (高尾直知)
  • William Empson: 帽子からウサギを出す(David Ewick)
  • Cleanth Brooks: 聖なる壺としての文学、あるいは精読のツボをもとめて(石川大智)
  • Roland Barthes: 可能性のエクリチュール(野崎歓)
  • Leslie Fiedler: 人種関係から読み解くアメリカ文学 (辻秀雄)
  • Leo Marx: アメリカの楽園志向と自然征服の矛盾 (宮脇俊文)
  • Paul de Man: アレゴリカル・アポリア (土田知則)
  • Michel Foucault: 文学と知の言説 (小倉孝誠)
  • George Steiner: 二十世紀批評の極北 (高山宏)
  • Jürgen Habermas :討議する哲学者、18世紀と現代をつなぐ (若澤佑典)
  • Jacques Derrida: 「われらの困難」 (鵜飼哲)
  • Sacvan Bercovitch: アメリカの象徴を読み解くThe American Jeremiad (佐久間みかよ)
  • David Lodge: 散文の襞の紋様 (田中裕介)
  • Tony Tanner: 文学批評におけるマクスウェルの悪魔 (波戸岡景太)
  • Edward Said: 日米マイノリティ言説と「旅する理論」としてのオリエンタリズム (中村理香)
  • Shoshana Felman: 誘惑する批評 (鈴木英明)
  • Michael T. Gilmore :アメリカン・ルネサンスの継続する闘争を豫言する (伊藤詔子)
  • Gayatri C. Spivak :批判的地域主義としての惑星思考へ (岡和田晃)
  • Werner Sollors :人種・エスニシティ・言語的多様性に注目したキャノンの再構築 (有光道生)
  • Stephen Greenblatt:「新歴史主義」から新評伝研究へ (井出新)
  • Terry Eagleton :文化革命の感情構造 (大貫隆史)
  • Jonathan Culler :力(フォース)のフォルマリスト (折島正司)
  • John Carlos Rowe: 歴史を解体する視線 (松井一馬)
  • Barbara Johnson: 脱構築とブラック・フェミニズムの出会い (佐久間由梨)
  • Cathy N. Davidson :革命を読み、革命を起こす (田辺千景)
  • Shelley Fishkin :一通の手紙が変えた文学研究 (里内克己)
  • Judith Butler :予め喪われたものへの愛について (貞廣真紀)
  • Paul Giles: トランスナショナリズムからグローバリゼーションを超えて (竹内勝徳)
  • Wai Chee Dimock :自由の帝国からディープな惑星へ (牧野理英)

あとがき  下河辺美知子

【関連リンク】

【関連書籍】
慶應義塾大学藝文學会『藝文研究』巽孝之教授退任記念論文集(第 119号第 1分冊、2020年 12月)