2021/03/09

ルイザ・メイ・オルコット『仮面の陰に——あるいは女の力』が、大串先生による翻訳で幻戯書房のルリユール叢書より絶賛刊行中です!

『若草物語』で有名なルイザ・メイ・オルコット。この度、幻戯書房ルリユール叢書より大串先生の翻訳で刊行された『仮面の陰に——あるいは女の力』は、『若草物語』の著者オルコットとはまた異なる、煽情小説家としてのもう一人のオルコットによる「発掘された」作品です(詳細は大串先生による訳者解題をご参照ください)。英国はコヴェントリー家を舞台に、新たに雇われた家庭教師ジーン・ミュアとコヴェントリー家の人々——コヴェントリー夫人、子供たち(兄・弟・妹)、いとこ、おじ——によって日夜繰り広げられた群像劇。ジーンの微に入り細を穿った観察眼と心理読解戦略、およびそのくゆる野心をてぐすにあれよあれよとドラマティックに展開するプロットはこの上なく魅惑的です。

巻末には、ルリユール叢書の特色の一つ「世界文学史・文化史が見えてくる作家年譜」として「ルイザ・メイ・オルコット年譜」が収録。大串先生による訳者解題では、発掘された煽情小説家としてのオルコットの軌跡、同時代アメリカ文学およびイギリス文学との共鳴を辿り、そこに託された女性の燃ゆる「言葉の力」についてご解説くださいます。引用されたセンテンスが静かに佇む帯と併せて、装幀も大変美しい一冊です。ぜひご一読ください!

【ルリユール叢書】
◆◆◆ Reliure(ルリユール)は「製本、装丁」を意味する言葉です。ルリユール叢書は、全集として閉じることのない世界文学叢書を目指し、多種多様な作品を綴じながら、文学の精神を紐解いていきます。一冊一冊を読むことで、読者みずからが<世界文学>を作りあげていくことを願って——(幻戯書房より)◆◆◆

※「<ルリユール叢書>発刊の言」は、こちら(幻戯書房 News [ 2019年 5月 14日])からお読み頂けます。



『仮面の陰に——あるいは女の力』
ルイザ・メイ・オルコット、大串尚代訳
ルリユール叢書
四六変、272ページ
幻戯書房、2021年 2月刊行
本体 2,700円+税
ISBN: 978-4-86488-216-3

【目次】
第一章 ジーン・ミュア
第二章 出だしは上々
第三章 情熱と憤慨
第四章 発見
第五章 彼女のやり口
第六章 警戒
第七章 最後のチャンス
第八章 不安
第九章 レディ・コヴェントリー

ルイザ・メイ・オルコット(1832-88)年譜
訳者解題

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