2021/03/15

03/26: 科研費研究会「アメリカン・サイエンスとパラノイド・スタイルーーアメリカ科学思想史をジェディディア・モースから始めてみる」オンライン開催のお知らせ(14:30-16:30)

 3月 26日(金)、巽先生が研究分担者の一人としてたずさわる科研費研究会「メイフラワー・コンパクトにおける排除/包括の理論と環大西洋文化の再定位」が下記のとおりオンラインにて開催されます。今回は、2020年に『火星の旅人――パーシヴァル・ローエルと世紀転換期アメリカ思想史』を上梓された入江哲朗先生(東京大学)による講演「アメリカン・サイエンスとパラノイド・スタイルーーアメリカ科学思想史をジェディディア・モースから始めてみる」が行われます。司会は巽先生です!ご関心のある方は、ぜひご来聴ください!



科研費研究会
アメリカン・サイエンスとパラノイド・スタイルーーアメリカ科学思想史をジェディディア・モースから始めてみる
講師:入江哲朗(東京大学非常勤講師)
司会:巽孝之(慶應義塾大学)
日時:2021年 3月 26日(金)14:30-16:30
研究代表者:下河辺美知子(成蹊大学)
研究分担者:巽孝之、舌津智之(立教大学)
※ Zoomによるオンライン開催
※ 参加ご希望の方は、mayflower.compact.41★gmail.com(★→@)小泉までメールでお申し込みください。

【概要】※フライヤーより抜粋
本基盤研究(B)は、メイフラワー・コンパクトが内包していた「排除/包括の理論」を探ることによって、環大西洋文化を再定位し、アメリカを中心に進んできたグローバリゼーションの進みゆく方向を、環太平洋的視座も連動させつつ見定めることを目的としている。

近年の米国の政治情勢により私たちは、リチャード・ホフスタッターの『アメリカ政治におけるパラノイド・スタイル』(1965)の重要性を何度も再認識させられている。しかし、「パラノイド・スタイル」と呼ばれる陰謀論的なレトリックに対して同書は歴史的な分析と同時代的な分析の両方を施しているものの、近年の読者の関心は後者に偏っており、ゆえに前者がある親子を取り上げていることは忘れられがちである。その親子は、父ジェディディア・モースが秘密結社イルミナティの陰謀の告発者として、子 S・F・B・モースが反カトリック感情の火付け役として同書に登場していた。他方でアメリカ科学史においては、父は「アメリカ地理学の父」として、子はモールス符号の名前の由来として登場するのだが、このことにホフスタッターはほとんど論及していない。

本発表が注目するのは父ジェディディア・モースである。主著『アメリカ地理学』(1789)で、米国独自の科学的発展の可能性のみならず包摂的なアメリカ人観をも提示したモースは、なぜ同時に頑迷な陰謀論者でありえたのか。本発表はこの問いに取り組みつつ、アメリカ科学思想史というアプローチの有効性を証明することも試みる。


【関連リンク】

【関連書籍】

ブルース・ククリック 著、入江哲郎・ 大厩諒・岩下弘史・岸本智典 『アメリカ哲学史――一七二〇年から二〇〇〇年まで』(勁草書房、2020年)

石岡良治・三浦哲哉 編著、入江哲郎・平倉圭・土居伸彰・畠山宗明 共著『オーバー・ザ・シネマ 映画「超」討議』(フィルムアート社、2018年)