2021/02/06

トミー・オレンジのデビュー作『ゼアゼア』が、加藤有佳織先生による翻訳で五月書房新社より絶賛刊行中です!

この度、加藤有佳織先生(本塾文学部)による翻訳にて刊行された『ゼアゼア』(五月書房新社)は、「今年読むべき 10冊の本」(ニューヨークタイムズ)の一つとして熱い視線を浴びているトミー・オレンジのデビュー作(原書刊行 2018年)。プロローグを冒頭におく四部構成(二部と三部のあいだには「幕間」が設置)。各章ごとに語り手が交代し、様々なバックグラウンド——世代 / 家族 / 教育 / 信条 / リズム / 言語 / 身体 / 衣装——をかかえた人々が、陰に陽に錯綜しあう都市インディアンの群像小説。物語は、最後の第四部「パウワウ」の舞台にむかって、時に軽やかに、時に重厚に紡がれます。

■■■ビッグ・オークランド・パウワウに来る人たちには、それぞれの理由がある。手に負えなくなって、ずたずたにちぎれてしまった人生を編み合わせる——今この場所へいたるまで、自分たちがやってきたありとあらゆるものごとの後ろに、それは結われた髪のようにぶら下がる。わたしたちは何マイルも離れたところからやって来る。何年も、何世代も、いくつもの人生をかけてやって来て、それらすべてが祈りと手織の衣装に織り込まれ、ビーズ刺繍をほどこされて縫い合わされ、羽根飾りがつき、編み合わされ、祝福され、呪われている。■■■(『ゼアゼア』「幕間——パウワウ」より)

「訳者あとがき」では、トミー・オレンジについて、都市インディアンについて、加藤先生による解説がお読み頂けます。また、CPAでご紹介の『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)は、加藤先生による「オレンジのブックリスト──ジェイク・スキーツの詩集とシェリー・ディマラインの小説」を収録。併せてぜひご一読ください! 

『ゼアゼア』
There There
著:トミー・オレンジ
訳:加藤有佳織
四六判、上製、376ページ
定価 2,300円+税
ISBN978-4-909542-31-1

【目次】
登場人物 
プロローグ 
第1部 とどまる
第2部 もういちど主張する 
第3部 引き返し、また曲がる 
第4部 パウワウ 
謝辞 

訳者あとがき 

【関連リンク】

【関連書籍】
青木耕平、加藤有佳織、佐々木楓、里内克巳、日野原慶、藤井光、矢倉喬士、吉田恭子『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)