2015/08/12

巽先生が編集委員の一人をつとめられる、定本荒巻義雄メタSF全集の第6回配本『カストロバルバ/ゴシック (第 7巻)』(彩流社)刊行中です!

作家・荒巻義雄氏の初期メタSFの名作が、全7巻にて、彩流社より復刻中。巽先生が編集委員の一人をつとめられています。第6回配本の『カストロバルバ/ゴシック (第 7巻)』 が刊行中です!

1983年に刊行された『カストロバルバ』は四短編から構成。奇想都市カストロバルバを舞台に、各編エッシャーの版画をモチーフとした難事件が発生。夢探偵・万治陀羅男が、風変わりな人物たち(警察署長サングリヤ/数学教師ポアンソン/銀行員アイバンク/精神分析医ビーンズ)との交流をヒントに解決を目指します!なお、1986年文庫版に寄せられた笠井潔氏による解説と、今回新たに寄せられた磯達雄氏による解説「<術>としての建築」が収録。後者では、建築家としての荒巻氏が考察されています。

併録の『ゴシック』は、2000年発表。マルセル・デュシャンの「大ガラス」をモチーフの一つに五編より構成。アガモス帝国のエラボスが位相百貨店カオスを買収せんとするなか、ヘルメストリスメギストス族のディアナは、二人のデザイナー、マニエリスム神道の秩父翠とレズビアンの黒隅ヒミコとともに根茎戦略で抵抗しようと試みます。

なお、1985年に発表された改行無しの実験作「プラトン通りの泥水浴」(単行本未収録)と、山尾悠子氏『夢の棲む街』の解説に寄せられた「幻想の種袋」(1978年)も掲載されています。また、<付録 月報6>には、荒巻氏による解説「<ありえぬ空間>での殺人事件」と、イラストレーターYOUCHANによる「荒巻世界を一枚の絵に閉じ込めて」が収録。後者では、2007年夏の荒巻氏との出会いから、『さむらい探偵 陰参議 天之鳩光之進』の電子書籍用イラストをめぐるエピソードが語られます。本巻もぜひご一読ください!




『カストロバルバ/ゴシック (定本荒巻義雄メタSF全集 第 7巻)』
荒巻義雄
巽孝之、三浦祐嗣編
イラスト:中野正一、装幀:渡辺将史
推薦帯:森優(南山宏)
四六判 / 503ページ / 上製
彩流社、3,200円 + 税、2015年4月刊行
彩流社による本書詳細

【目次】
カストロバルバ
 物見の塔の殺人
 無窮の滝の殺人
 版画画廊の殺人
 球形住宅の殺人
 蟷螂の夢 あとがきに代えて

解説 笠井潔
解説 磯達雄

ゴシック
 ファルシティ
 フェミシティ
 鬼門大金神
 ハンガーとコルセット
 扉と蝶番

自己言及的解説——イデア光屈折装置

プラトン通りの泥水浴
幻想の種袋

Introduction (Takayuki TATSUMI)

付録 月報 6
<ありえぬ空間>での殺人事件 荒巻義雄
荒巻世界を一枚の絵に閉じ込めて YOUCHAN(イラストレーター)


*なお、全集全体は下記のとおりです:
  • 第1巻「柔らかい時計」(第7回配本)// 2015 年5月
  • 第2巻「宇宙25 時」(第4回配本)// 既刊
  • 第3巻「白き日旅立てば不死」(第1回配本)// 既刊
  • 第4巻「聖シュテファン寺院の鐘の音は」(第2回配本)// 既刊
  • 第5巻「時の葦舟」(第3回配本)// 既刊
  • 第6巻「神聖代」(第5回配本)// 既刊
  • 第7巻「カストロバルバ/ゴシック」(第6 回配本)

【関連リンク】

【関連書籍】
荒巻義雄『カストロバルバ/ゴシック (定本荒巻義雄メタSF全集 第 7巻)』(彩流社、2015年)


荒巻義雄『神聖代 (定本荒巻義雄メタSF全集 第 6巻)』(彩流社、2015年)


荒巻義雄『宇宙25時 (定本荒巻義雄メタSF全集 第 2巻)』(彩流社、2015年)


荒巻義雄『時の葦舟 (定本荒巻義雄メタSF全集 第 5巻)』(彩流社、2015年)


荒巻義雄『聖シュテファン寺院の鐘の音は (定本荒巻義雄メタSF全集 第 4巻)』(彩流社、2014年)


荒巻義雄『白き日旅立てば不死 (定本荒巻義雄メタSF全集 第 3巻)』(彩流社、2014年)


岡和田晃編『北の想像力 《北海道文学》と《北海道SF》をめぐる思索の旅』(寿郎社、2014年)