2015/04/06

巽先生が編集委員の一人をつとめられる、定本荒巻義雄メタSF全集の第5回配本『神聖代 (第 6巻)』(彩流社)刊行中!

作家・荒巻義雄氏の初期メタSFの名作が、全7巻にて、彩流社より復刻中。巽先生が編集委員の一人をつとめられています。『白き日旅立てば不死 (第 3巻)』『聖シュテファン寺院の鐘の音は (第 4巻)』『時の葦舟 (第 5巻)』『宇宙25時 (第 2巻)』に引き続き、第5回配本『神聖代 (第 6巻)』 が刊行されました!

本書は、1970年発表の短編「種子よ」を原型に、1978年に刊行された作者自身も認める代表作。とうに砂漠化した地方出身の主人公 K は、不可知の何かに導かれるように光輝く首都イジチュールで「神聖試験」を受験。謎に満ちた「ボッス星研究」に就くことになります。教義「四位一体」や『南方教典』「種子の章」などを題材に、正統 / 異端をめぐる解釈学的問題が展開されながら、物語中盤、K ははれて宇宙空間へと飛び立ちます。そこで彼を待ち受けていたのは幾多の不可思議…。エメラルド色に輝く都市ローランでは「自動人形」に翻弄され、石で出来た「宇宙時計」では両脚を切断された隠者に出会います。そしてついに「神聖航路」に突入、最終目的地「快楽の園」ボッス星へと向かうことに…。

1980年徳間文庫版に寄せられた荒巻氏によるあとがき「事象の地平線」では、小説理念「経験としての小説」や、原型短編「種子よ」から9年かけて完成された創作経緯、本作に見られる地上と宇宙の境界を「事象の地平線」として捉える重要性、思想基盤としての菱形図形、そして「イジチュール」の由来についてご解説されます。なお、本書は「種子よ」も同時収録!

さらに、筒井康隆氏による徳間版解説と、安藤礼二氏による書き下ろし解説も掲載。筒井氏は、本作に通底するモチーフ、エロニムス・ボッスの祭壇画「快楽の園」と、エッシャーの逆転的発想の世界を詳細に検討することで本作を照らし出し、荒巻世界を堪能するための案内図をご提示されます。安藤氏は、本作を、意識と宇宙が発生する「原初のそこ」を探究した作品とし、鍵としての「イジチュール」をマラルメを考察することでご説明されます。

付録の荒巻氏による解説「たとえば聖書偽典のように」では、原型短編「種子よ」より胚胎されていたタンポポの白い綿毛やディアスポラのイメージから、幼少期におけるキリスト教との接触を思い出しつつ、本作を再考されます。増田まもる氏による「荒巻義雄の超時空間」では、荒巻作品「大いなる正午」や 2007年世界SF大会など様々な「ふいの出会い」を回想されつつ、荒巻氏の詩人としての魅力を語ります。また、安田圭一氏による「「レッドワゴン」の時代」も掲載。本作もどうぞお手にとってみてください!


『神聖代 (定本荒巻義雄メタSF全集 第 6巻)』
荒巻義雄
巽孝之、三浦祐嗣編
イラスト:中野正一
装幀:渡辺将史
推薦帯:難波弘之
四六判、476ページ
3,200円 + 税
2015年3月刊行
彩流社による本書詳細

【目次】
神聖代
 神聖試験
 クララ館
 四位一体
 南方教典
 自動人形
 宇宙時計
 神聖航路
 快楽(けらく)の園

事象の地平線 文庫版のあとがきに代えて

種子よ

解説 筒井康隆
解説 意識と宇宙が発生してくる起源の場所へ 安藤礼二

Introduction (Takayuki TATSUMI)

<付録 月報 5>
たとえば聖書偽典のように 荒巻義雄
荒巻義雄の超時空間 増田まもる(翻訳家)
「レッドワゴン」の時代 安田圭一(イスカーチェリSFクラブ元編集長)

*なお、全集全体は下記のとおりです:
  • 第1巻「柔らかい時計」(第7回配本)// 2015 年5月
  • 第2巻「宇宙25 時」(第4回配本)// 既刊
  • 第3巻「白き日旅立てば不死」(第1回配本)// 既刊
  • 第4巻「聖シュテファン寺院の鐘の音は」(第2回配本)// 既刊
  • 第5巻「時の葦舟」(第3回配本)// 既刊
  • 第6巻「神聖代」(第5回配本)// 今回配本
  • 第7巻「カストロバルバ/ゴシック」(第6 回配本)// 2015 年4月

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