2014/06/11

大著『北の想像力——《北海道文学》と《北海道SF》をめぐる思索の旅』(岡和田晃編、寿郎社)刊行!第51回日本SF大会Varicon 2012にて開催され、巽先生と小谷先生がご登壇されたパネル「北海道SF大全」再録!

寿郎社より刊行された岡和田晃氏編著『北の想像力——《北海道文学》と《北海道SF》をめぐる思索の旅』は、日本SF評論賞受賞者の有志より成る「プロジェクト北海道」を母体とした約800ページに及ぶ大著!北海道文学の再生を目指し、北海道SFの視点を導入することを通じ、「北の想像力」の意義を探求されています。

本書に収録された、巽先生、小谷先生がご登壇されたパネル「北海道SF大全」は、第51回日本SF大会Varicon 2012にて開催され、編者の岡和田氏によれば、「《北海道SF》宣言」として位置付けられる記念的瞬間。脱地域性を志向しがちなSFに、北海道という地域性が意味深く作用する可能性、ならびに、開拓後の短い歴史しか持たず、先住民の人々が存在し、果てしない土地が広がるという点において見出せる、北海道とアメリカとの非常に啓発的な親近性が提示されております。

ほかにも、CPAで取り上げさせていただいたこともある荒巻義雄氏、川又千秋氏、円城塔氏らの著作も、北海道文学・北海道SFという視点から再読されています!北海道という土地が生み出した豊饒な想像力が、空間性、SF、科学、幻想、リアリズム、という側面からの再検討を通じ、この上なく魅力的なかたちで現前していきます。なお、巻末には、北の想像力を考えるためのガイドブック、および関連地図も収録されており、読者には非常に有り難い一冊。ご興味のある方は、ぜひお手にとってみてください!

『北の想像力——《北海道文学》と《北海道SF》をめぐる思索の旅』
岡和田晃編
A5 / 782頁
寿郎社
2014年5月/ 7500円+税
*本書購入につきましては寿郎社ホームページをご確認ください。
本書紹介は編者岡和田晃氏のホームページよりお読みいただけます。

【目次】
序論 
岡和田晃「北の想像力」の可能性

第一部 「北の想像力」という空間
田中里尚「迷宮としての北海道――安部公房『榎本武揚』から清水博子『ぐ
     ずべり』へ」
宮野由梨香「「氷原」の彼方へ――『太陽の王子―ホルスの大冒険』『海
     燕』『自我系の暗黒めぐる銀河の魚』」
倉数茂「北方幻想――戦後空間における〈北〉と〈南〉」
石和義之「北と垂直をめぐって――吉田一穂」

第二部 「北の想像力」とSF史
巽孝之×小谷真理×松本寛大×増田まもる×岡和田晃「第51回日本SF大会
     Varicon 2012「北海道SF大全」パネル再録」
三浦祐嗣「北海道SFファンダム史序論」
藤元登四郎・岡和田晃「荒巻義雄の謎――二〇一三年の取材から」

第三部 「北の想像力」と科学
渡邊利道「小説製造機械が紡ぐ数学的《構造》の夢について――《北海道
     SF》としての円城塔試論」
礒部剛喜「わが赴くは北の大地――《北海道SF》としての山田正紀の
     再読」
高槻真樹「病というファースト・コンタクト――石黒達昌「人喰い病」論」

第四部 「北の想像力」と幻想
忍澤勉「心優しき叛逆者たち――佐々木譲の軸の位置」
松本寛大「朝松健『肝盗村鬼譚』論――「窓」の向こう側の世界」
丹菊逸治「SFあるいは幻想文学としてのアイヌ口承文学」

第五部 「北の想像力」とリアリズム
東條慎生「裏切り者と英雄のテーマ――鶴田知也「コシャマイン記」とその
     前後」
横道仁志「武田泰淳『ひかりごけ』の罪の論理」
岡和田晃「辺境という発火源――向井豊昭と新冠御料牧場」

第六部 「北の想像力」と海外/メディア
橋本輝幸「キャサリン・M・ヴァレンテ「静かに、そして迅速に」」
藤元登四郎「フィリップ・K・ディック『いたずらの問題』」
岡和田晃「川又千秋「魚」」
渡邊利道「侯孝賢監督『ミレニアム・マンボ』」
石和義之「伊福部昭作・編曲『SF交響ファンタジー』」

第七部 「北の想像力」を俯瞰する
「北の想像力」を考えるためのブックガイド
「北の想像力」関連地図

編集後記
執筆者略歴
索引

【関連リンク】
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