2015/01/31

『現代思想 2015年2月号』特集「反知性主義と向き合う」刊行!巽先生によるご論文「ニクソン政権下の脱構築——ポー、ド・マン、ホフスタッター」掲載です!

『現代思想 2015年2月号』 特集「反知性主義と向き合う」は、現代に反知性主義が溢れる一方、これら反知性主義と向き合う方法がもはや知識の啓蒙では有り得ないという認識から出発し、17人の書き手(内2人は討議)による論考が展開されます。

巽先生のご論文「ニクソン政権下の脱構築」では、ホフスタッターの『アメリカの反知性主義』(1963)や『アメリカ政治におけるパラノイド・スタイル』(1965)が参照されながら、第37代大統領ニクソンが戦略的反知性主義に位置付けされるとともに、いみじくも同時代、ポーの「盗まれた手紙」やルソーの「盗まれたリボン」のエピソードが、デリダやド・マンによる脱構築批評形成期において再評価/特権化された時代的共振性が考察され、そこに潜む言語とレトリックをめぐるメカニズムが、浮き彫りにされます。なにとぞお見逃しなく!


『現代思想 2015年2月号』 (第43巻 第3号)
特集「反知性主義と向き合う」
青土社
230頁
本体1,300円+税
2015年2月1日刊行
青土社による本書詳細

【目次】
連載
科学者の散歩道 第15回
  無人物理、有人物理「こんにちは赤ちゃん」(佐藤文隆)
家族・性・市場 第108回
  精神医療現代史へ・追記11(立岩真也)

特集「反知性主義と向き合う」  
討議
反知性主義の時代(信田さよ子+白井聡)

エッセイ
私たちが、女が、完全に諦めてしまう前に(北原みのり)
歴史的過ちは、きっとこうして始まった(森達也)

いまなぜ反知性か
現代日本の「反・反知性主義」?(酒井隆史)
反知性主義の秘かな愉しみ——現代ラカン派の集団心理学Ⅱ(松本卓也)

反知性主義のポリティクス
反知性主義ポピュリズムと凋落する中道政治(森政稔)
〈官僚なきテクノクラシー〉の反知性主義——キルヒハイマーの「包括政党」再論(野口雅弘)
「選挙独裁」とポピュリズムへの恐れ(木下ちがや)

レイシズムの「論理」
日本の移民政策と反知性主義——市民権の廃墟からの出発にむけて(樋口直人)

知識(人)への憎悪
ニクソン政権下の脱構築——ポー、ド・マン、ホフスタッター(巽孝之)
反知性主義と大学——近代日本の大学における知と権力の対話について(岡山茂)
「実務インテリ」から今日的自己啓発へ——『中央公論経営問題』『will』の分析)牧野智和)

反-反知性のために
反知性主義に抗うためのいくつかのアイディア(上野俊哉)
価値自由の現在形(澤野雅樹)
挑戦する主体は恐れない——フーコーと新自由主義、反知性主義(箱田徹)

知の条件としての書店
憎悪・排除・批判——闘技場としての書店は、今(福嶋聡)

研究手帖
パン・アフリカニズムから「世界史の明日」へ(林裕哲)

【関連リンク】

【関連論文(CPA英語論文アーカイブより)】

【関連書籍】
『現代思想 2015年2月号 特集=反知性主義と向き合う』(青土社、2015年)


巽孝之編著『反知性の帝国―アメリカ・文学・精神史』(南雲堂、2008年)


巽孝之『ニュー・アメリカニズム』(青土社、2005年)

巽孝之『メタファーはなぜ殺される』 (松柏社、2000年)

ポール・ド・マン/土田知則訳『読むことのアレゴリー』(岩波書店、2012年)


土田知則『ポール・ド・マン』(岩波書店、2012年)