2015/02/04

森晶麿氏による人気黒猫シリーズ第三弾『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』(早川書房)が待望の文庫化!巽先生が解説を寄せています!

森晶麿氏は、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第一回アガサ・クリスティー賞を受賞された実力派作家!本作『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』は、黒猫シリーズの三作目にあたります。若き天才美学者として注目を集める通称「黒猫」は、客員教授としてフランスへ渡り、一方、かつて行動を共にしていた黒猫の付き人女子は、日本で引き続きポーを研究する院生生活。本作では、フランスと日本をそれぞれ舞台に生じた二つの事件が、巧みに展開・交錯していきます。もちろん、ポー作品は通奏低音、黒猫と付き人の美学解釈も健在。ロマンスも濃厚に香ります。

巽先生による解説では、ポーへオマージュを捧げる昨今の文学・映画作品、ポーの日本受容が概観され、ポー作品が文学批評理論の隆盛とともに再読され続けてきた文脈に、森氏が位置付けされます。その上で、本作『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』はもちろん、黒猫シリーズ全作品が、いかにポー作品を綿密に織り込んでいるかが解体されていきます。ご興味のある方は、この機会にぜひご一読ください!



『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』
森晶麿
文庫/299頁
早川書房
756 円(税込)
2015年1月刊行
早川書房による本書紹介

【目次】
プロローグ
第一章 落下する時間たち <テクスト篇>
第二章 舞い上がる時間たち <テクスト篇>
第三章 落下する時間たち <解釈篇>
第四章 舞い上がる時間たち <解釈篇>
第五章 黒猫の薔薇あるいは時間飛行

解説 巽孝之

【関連リンク】

【関連書籍】
森晶麿『黒猫の遊歩あるいは美学講義』(早川書房、2013年;単行本、早川書房、2011年)


森晶麿『黒猫の接吻あるいは最終講義』(早川書房、2014年;単行本、早川書房、2012年)


森晶麿『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』(早川書房、2015年;単行本、早川書房、2012年)


森晶麿『黒猫の刹那あるいは卒論指導』(早川書房、2013年:文庫書き下ろし)


森晶麿『黒猫の約束あるいは遡行未来』(早川書房、2014年)


エドガー・アラン・ポー、巽孝之訳『黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集〈1〉ゴシック編』(新潮社、2009年)


エドガー・アラン・ポー、巽孝之訳『モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編』(新潮社、2009年)


巽孝之『NHKカルチャーラジオ 文学の世界 エドガー・アラン・ポー 文学の冒険家(NHK出版、2012年)


Takayuki Tatsumi,  Full Metal Apache: Transactions Between Cyberpunk Japan and Avant-Pop America (Duke UP, 2006)


八木敏雄、巽孝之編『エドガー・アラン・ポーの世紀 生誕200周年記念必携』(研究社、2009年)


巽孝之『E・A・ポウを読む (岩波セミナーブックス)』(岩波書店、1995年)


巽孝之、下河辺美知子、鷲津浩子『文学する若きアメリカ―ポウ、ホーソン、メルヴィル』(南雲堂、1989年)

笠井潔『群衆の悪魔 上 (デュパン第四の事件) (創元推理文庫)』(東京創元社、2010年)


笠井潔『群衆の悪魔 下 (デュパン第四の事件) (創元推理文庫)』(東京創元社、2010年)