2019/06/12

下河辺美知子先生退任記念論集『アメリカン・マインドの音声――文学・外傷・身体』(小鳥遊書房)が刊行されました/巽先生と大串先生が寄稿されています!

成蹊大学をご退職された下河辺美知子先生の記念論文集『アメリカン・マインドの音声――文学・外傷・身体』小鳥遊書房より刊行されました!

本書の最終章「言葉を届ける」の緒言で、下河辺先生は「さまざまなジェネレーションの同僚との交流のなかに自分がいたことに気付くのだ」と綴っています。本書には、その交流をとおしてうまれた論考が収められています。10の論考は、「アメリカ、音声、音楽、記憶といったテーマを共有するなかで私に語りかけられた声」であるという下河辺先生の言葉のとおり、多声的な音響空間を作り出します。

巽先生は、本書編集に携わるとともに、序文 「セオリー狂騒曲――極東における受容と変容」とともに第十章 「声なき絶叫――「税関」を通って『白鯨』へ」を寄稿され、大串尚代先生は第五章 「場違いな音楽――ポール・ボウルズ『シェルタリング・スカイ』における異国の響き」を寄稿されています。ご関心をお持ちの方は、ぜひお手にとってみてください!


:アメリカン・マインドの音声――文学・外傷・身体
監修:下河辺美知子
編著:高瀬祐子・日比野啓・舌津智之・巽孝之
判型:四六型
頁数:344
出版:小鳥遊書房
刊行:2019年5月25日
価格:3000円+税
※小鳥遊書房による本書詳細はこちらです

【目次】
 序論 
セオリー狂騒曲――極東における受容と変容/巽孝之

 第一部 音が響く 
第一章 恐怖の音がこだまする――「アッシャー家の崩壊」に見るテロの構図/高瀬祐子
第二章 音とオカルト――ハーマン・メルヴィルとラフカディオ・ハーンのコスモポリタニズム/佐久間みかよ
第三章 恥、あるいは人格の臨界――ヘンリー・ジェイムズの知の体質について/新田啓子

 第二部 音楽が響く 
第四章 現実に立ち向かえ(フェイス・ザ・ミュージック)――『気まま時代』(一九三八)における精神分析/日比野啓
第五章 場違いな音楽――ポール・ボウルズ『シェルタリング・スカイ』における異国の響き/大串尚代
第六章 「ジャズが感じられる瞬間」――ラルフ・エリソンの合衆国憲法とジャズ/権田健二
第七章 ニューディールの残響――『欲望という名の電車』と一九三〇年代/舌津智之

 第三部 声が響く 
第八章 声を書くということ――"Billy Budd, Sailor"の草稿とビリーの吃音/板垣真任
第九章 オバマのヒロシマ・スピーチを聴く――ナショナルナラティヴから千羽鶴の物語へ/伊藤詔子
第十章 声なき絶叫――「税関」を通って『白鯨』へ/巽孝之

 言葉を届ける 
下河辺美知子
書評『アセンブリ』(ジュディス・バトラー)
書評『盗まれた廃墟』(巽孝之)
書評『批評的差異』(バーバラ・ジョンソン)
書評『日本語がほろびるとき』(水村美苗)
書評『マニエリスムのアメリカ』(八木敏雄)
劇評『風とともに去りぬ』
劇評『ダディ・ロング・レッグズ』
映画評『戦場でワルツを』「トラウマの記憶から届いてくる声」
村山敏勝さんを偲んで 
「ショートターム的思考の呪詛に抗って― 今届けたい言葉」 

 あとがき 
高瀬祐子


【関連リンク】

【関連書籍】
下河辺美知子 監修 『アメリカン・マインドの音声――文学・外傷・身体』(小鳥遊、2019年)


下河辺美知子 編著 『モンロー・ドクトリンの半球分割−−トランスナショナル時代の地政学』(彩流社、2016年)


下河辺美知子・権田建二 編著 『アメリカン・ヴァイオレンス−−見える暴力、見えない暴力』(彩流社、2013年)


下河辺 美知子 編著 『アメリカン・テロル−−内なる敵と恐怖の連鎖』(彩流社、2009年)