今回行われた講演会では、「トランスモーション」の概念が一貫して強調されていました。7月1日の講演会では、トランスモーションの視点から、アメリカを代表する作家ハーマン・メルヴィルの傑作長篇『白鯨』が読み解かれ、7月3日の講演会では、同じくトランスモーションを下敷きとし、日本の俳句と照らし合わしながら、先生の新著 Favor of Crows についてのお話とご朗読が行われました。
7月1日の講演会へは、6本の院生レポートが寄せられています。研究者としてのヴィゼナー先生による『白鯨』の鮮やかな読解方法に注目するもの、こうした先生の方法論によって提示された「白鯨」の姿にあらためて驚嘆するものがある一方、質疑応答で交わされたインディアン・アートをめぐるお話に着目するものもあり、まことにヴァラエティに富んだ構成となりました。7月3日の講演会に関する3本のレポートでは、詩人としてのヴィゼナー先生に魅了されながら、それぞれ「巡り合わせ」「喪失」「詩人の声」に目を向けております。また、1日の講演会後にひらかれた懇親会の様子も、「ワインと笑いとアイロニー」と題し、特別に報告していただきました!
3日以降に予定されていた講演会は、先生の健康の都合上、残念ながら中止となってしまいましたが、慶應義塾大学と国際文化会館で行われた講演会の模様が、まことに僭越ではありますが、少しでもお伝えできれば幸いです。
【関連リンク】
- ジェラルド・ヴィゼナー氏による来日記念講演・東京レクチャー・シリーズ開催!第一回「ポスト・インディアンの白鯨」では巽先生が司会をつとめられます!@慶應義塾大学三田キャンパス(CPA: 2014/06/14)
- ワークショップ「マニフェスト・デスティニー以後の先住民――ジェラルド・ヴィゼナー文学を中心に」開催!@三田キャンパス東館4Fセミナー室(18:00-19:30):巽先生が司会、宇沢先生・有光先生・加藤先生が報告者としてご登壇されます!(CPA: 2014/07/09)
- 文学部英米文学専攻主催ジェラルド・ヴィゼナー氏講演会:ISHMAEL ASHORE IN HIROSHIMA(CPA: 2004/10/26)
- 【Event Photos】ジェラルド・ヴィゼナー氏講演会(CPA: 2004/10/26)
- 巽先生寄稿!ポストモダン作家、ジェラルド・ヴィゼナー氏編著 Survivance: Narratives of Native Presence 刊行!(CPA: 2008/11/18)
- 【Event Photos】来日記念講演:東京レクチャー・シリーズ 「先住民作家ジェラルド・ヴィゼナーの神話的世界」:第一回「ポスト・インディアンの白鯨」@三田キャンパス(CPA: 2014/0728)
- 【Event Photos】来日記念講演:東京レクチャー・シリーズ 「先住民作家ジェラルド・ヴィゼナーの神話的世界」:第二回 俳句詩集 Favor of Crows 朗読会「俳句とアニシナベ族の夢の歌」@国際文化会館図書室(CPA: 2014/0728)
- 【Event Photos】ワークショップ 「マニフェスト・デスティニー以後の先住民 ――ジェラルド・ヴィゼナー文学を中心に」@三田キャンパス(CPA: 2014/0728)
【関連書籍】
Griever: An American Monkey King in China (U of Minnesota P, 1987/ニューヨーク・フィクション・コレクティヴ文学賞と全米図書賞をダブル受賞)
Hiroshima Bugi: Atomu 57 (Lincoln: U of Nebraska P, 2003)
Favor of Crows: New and Collected Haiku (Wesleyan UP, 2014)