このたび刊行された『最後に残るのは本』は、工作舎より1979年よりほぼ月刊で刊行された新刊案内「土世紀」において、1986年に開始された連載「標本箱」をあらためて纏めた一冊( 2000年まで)。一篇約 1000字で綴られた「本」ないしは「読書」をめぐるめくるめく随想を 67篇とりあつめた文字通り「本の標 の箱」です。本書には、1998年 4月掲載の巽先生による「ある夏の奇跡」も収録されています(CPAからも全文お読み頂けます!こちら)。また、巻末には、当時の意匠を尽くしたページデザイン「土世紀「標本箱」グラフィティ」を掲載するほか、祖父江慎氏(デザイン担当)と米澤敬氏(工作舎編集長)による「あとがきに代えて——「土星」の歩き方」も収められています。ご関心のある方は、ぜひお手にとってみてください!
また、本書タイトルを付した「工作舎 50周年フェア——最後に残るのは本」も現在、紀伊國屋書店 mozoワンダーシティ店で下記のとおり絶賛開催中です。お近くにお住まいの方は、ぜひお立ち寄りください!
工作舎 50周年フェア
最後に残るのは本
日時: 2021年 6月 10日(木)〜2021年 7月 11日(日)
(〒452-0817 愛知県名古屋市西区 二方町40 mozoワンダーシティ 4F 名古屋 mozoオーパ内 ※アクセス)
なお、巽先生の随想「ある夏の奇跡」でその邂逅が触れられている土居健郎先生は、本塾文学部設置総合教育科目「情の技法」(2003年度)にご登壇頂き、「甘えの概念について」 をご講演くださいました(CPA詳細)。本講座「情の技法」は、慶應義塾大学出版会より同題『情の技法』として刊行されています。併せてぜひ!
工作舎編
四六判変型、上製、428頁
工作舎、2021年 6月
本体 2500円(+税)
ISBN: 978-4-87502-529-0
【目次】
はじめに——土星と標本
ないたあかおに 小松和彦
匂いのない「電子の本」 坂村 健
宜しかったら豪華本に 小野健一
私と本 杉浦日向子
ワールブルク研究所のことフランセス・イエイツのこと 佐々木 力
「木」を削る者にとっての「本」 稲本 正
本になりすました標本箱 海野和男
闇に咲く本 田中優子
本の代謝 芹沢高志
本の風合い 奥村靫正
わかる本知る本好きな本 彌永信美
いっしょに暮らしたい本 コリーヌ・ブレ
子供が盗んだ「チャップ・ブック」 井村君江
本と検閲 野崎昭弘
わが部屋をめぐる旅 高山 宏
背伸びして読む本 奥井一満
マラルメの反=書物論 兼子正勝
ショーペンハウアーの読書論 田隅本生
本の利用法 松山 巖
一回の旅に一冊の本 管 洋志
一を識り十を「観る」 梶川泰司
読書日録 由良君美
最初の読者 長谷川憲一
知識の個体発生を追走する 渡辺政隆
梅園とブロンテ姉妹 木村龍治
本の軽重 山田脩二
「本」がとりもつ縁 池内 紀
本気の怖さ 鎌田東二
過剰な身体に読ませるもの 藤原惠洋
読者・評者・著者 森 毅
古典の条件 根本順吉
書物こそ吾がグル 松田隆智
本を盗んだ少年 加藤幸子
海外旅行には、いかような本がよいのか? 夢枕 獏
本のおかげ 養老孟司
書物と読者 八杉龍一
ほんのおはなし 矢川澄子
フランス人の進化論嫌い 富山太佳夫
超能力と書物 林 一
寄贈本のこと 三浦清宏
「謝辞」や「献辞」について 垂水雄二
パリの本屋歩き 宮下志朗
恐怖の光景 三宅理一
再読の欲望について 池澤夏樹
黙読の誕生 池上俊一
本の所番地 横山 正
本草書の入れ子様式 石田秀実
稀覯書も眠れる森の美女 高橋義人
コデックスのコード 鶴岡真弓
ある関数 澤井繁男
緩急自在に読む 藤幡正樹
コンピュータと古書 笠原敏雄
海、ヴェルヌ、そして少年期の夢 西村三郎
読み人知らず 佐倉 統
「リアル」を描くために 布施英利
本と鏡 谷川 渥
本の中の星 小林健二
漫画様、ありがとう 桐島ノエル
黄ばんだ片仮名 西垣 通
この話はほんとなのです 大鹿智子
本の霊 中村桂子
旅先で今日も古書探し 鹿島 茂
出会いと関係性の読書 風間賢二
ある夏の奇跡 巽 孝之
赤道書店への道 港 千尋
最後に残るのは本 多田智満子
この冬、この本 松浦寿輝
執筆者プロフィール
土世紀「標本箱」グラフィティ
あとがきに代えて——「土星」の歩き方 祖父江 慎×米澤 敬
【関連リンク】
- 工作舎
- 「工作舎 50周年フェア——最後に残るのは本」(紀伊国屋書店)
- 「ある夏の奇跡」(CPA)
- 「情の技法」12/2の講義は土居健郎先生が御出講(CPA)
- 慶應義塾大学文学部設置総合教育科目 2003年度「情の技法」
【関連書籍】
坂本光、坂上貴之、宮坂敬造、岡田光弘、巽孝之編『情の技法』(慶應義塾大学出版会、2006年)