巽先生による巻頭論文「来たるべき戦争−−ガーンズバック、ウェルズ、バラード」は、ジャンル名「サイエンス・フィクション」の発明家ヒューゴー・ガーンズバックと、エジソンとも肩を並べ得る発明家ニコラ・テスラとの交流を起点としつつ、H・G・ウェルズの『タイム・マシン』を戦争小説として再読されています。さらに、近年映画化された J・G・バラードの『ハイ・ライズ』も取り上げられ、ウェルズとバラードの交点が照らされます。ご関心のある方は、ぜひご一読ください!
『架空の国に起きる不思議な戦争−−戦場の傷とともに生きる兵士たち』
津久井良充・市川薫 編著
A5判、335ページ
カバー装丁・扉イラスト:矢原繁長
開文社出版、2017年 3月
3,240円(税込)
*開文社出版による本書紹介
【目次】
はじめに 市川 薫
巻頭論文
来たるべき戦争──ガーンズバック、ウェルズ、バラード 巽 孝之
第 Ⅰ部 架空の国に起きる不思議な戦争
- 奇怪な内乱の起きる不思議な国−−コンラッド『ノストローモ』にみる祖国喪失者たちの抱く幻想 津久井良充
- 変奏されるアイルランド史−−ロディ・ドイル『ヘンリーと呼ばれた星』における戦争と歴史 戸田 勉
- 戦場のクーフリン−−W・B・イェイツの劇作品『バーリャの浜辺にて』に見る叙事詩英雄の戦い 伊達恵理
第 Ⅱ部 未来の戦争を予言する作家たち
- 若き炭鉱王を脅かす見えない戦争の影−−D・H・ロレンス『恋する女たち』と愛国の叫び声 岩井 学
- 戦争映画の中の「音楽」と「兵士」たち−−デイヴィッド・リーン監督の『戦場にかける橋』を観る 清水 明
- 核時代の到来を予言した作家−−H・G・ウェルズ『解放された世界』からヒロシマへ 一谷智子
第 Ⅲ部 戦争の傷跡とともに生きる
- 戦場で心の傷を負う兵士たちの「それから」−−パット・バーカー『再生』を読み解く 市川 薫
- 【特別寄稿】 自然と向き合う人間に見えるもの−−農と食の未来と平和を思う 片岡美喜
- ある現代美術家の告白−−戦争の傷跡から信ずべき「何か」を求めて 矢原繁長
- 巻末エッセイ 世界文学への扉をあける 早川敦子
あとがき 津久井良充
写真・図版出典一覧
執筆者紹介
【関連リンク】
- 開文社出版
- 鷹書房弓プレス刊行『〈平和〉を探る言葉たち―二〇世紀イギリス小説にみる戦争の表象』の巻頭に、巽先生の「アーサー・C・クラークの内宇宙―人類の未来と平和」が寄稿されています!(CPA: 2014/04/22)
【関連書籍】
津久井良充、市川薫編著『架空の国に起きる不思議な戦争−−戦場の傷とともに生きる兵士たち』(開文社出版、2017年)
津久井良充、市川薫編著『“平和”を探る言葉たち−−二〇世紀イギリス小説にみる戦争の表象』(鷹書房弓プレス、2014年)