第三部「作家生命論の環大陸——来るべきアメリカ文学思想史」は、マーク・トウェインの近年まで埋もれてきた傑作戯曲『彼は死んだのか?』を中心に据えながら、巽先生がライフワークとして取り組んでこられた「作家生命論」の三つの法則が論じられるとともに、その二十一世紀的な独自の様相も浮彫にされます。最後の「おわりに——慶應義塾とニューヨーク」は、2022年 1月、慶應義塾ニューヨーク学院の第十代学院長にご就任された地点から、ニューヨーク学院を拠点に、アメリカニストとジャパノロジストが交錯し、環太平洋的な創造的文化融合が生じる可能性をあらためて照射されます。この機会にぜひご一読ください!
『慶應義塾とアメリカ』
【目次】
はじめに 最終講義の物語学
第一部 最後の授業——慶應義塾とアメリカ
0. 序説——最初の授業
1. ドーデ「最後の授業」と普仏戦争(一八七〇—七一)
2. 「失われた大義」(the Lost Cause)と南北戦争(一八六一—六五)
3. キャプラ『スミス都へ行く』における負け戦
4. 福澤諭吉と環太平洋スペクトラム——『痩我慢の説』と戊辰戦争(一八六八—六九)
5. 結語——物語の瞬間
第二部 モダニズムと慶應義塾——世界文学の曙
0. 序説——福沢諭吉の逆説
1. 慶應義塾のモダニズム前史
1—1. 早すぎた碩学——大秀才トマス・サージェント・ペリーの失敗
1—2. 三田文学の胎動——放蕩息子・永井荷風の成功
2. ガートルード・スタインとモダニズム最盛期
3. エズラ・パウンドの極東——野口米次郎登場
3—1. 世紀転換期のジャポニズム
3—2. フェノロサ・コード
3—3. 英語俳句の起源——甦る荒木田守武
4. バベル以後のモダニズム——ヨネ・ノグチから西脇順三郎へ
4—1. エリオットは蕎麦を食すべし
4—2. 国際詩人ノグチをめぐる論争
4—3. 西脇順三郎または引用と翻訳の詩学
5. 結語 世界文学の曙——西脇順三郎『ヨーロッパ文学』を読む
第三部 作家生命論の環大陸——来るべきアメリカ文学思想史
0. 作家生命論序説——漱石、エマソン、ウェルズ
1. トマス・サージェント・ペリーの社会進化論的文学史
2.「作者の死」と作品の再生——トウェイン晩年の戯曲 Is He Dead?
3. トウェインとミレー——円熟期の『晩鐘』
4. アメリカにおけるミレー神話——愛弟子ハント、師匠ミレーにエマソンを読ませる
5. ポー、トウェイン、ホアン
6. 自己剽窃の効用、またはメタフィクションの進化
7. 結語——『白鯨』を書き直す二十一世紀
おわりに 慶應義塾とニューヨーク
慶應義塾とアメリカ関連年表
索引
Synopsis
【関連リンク】
- 小鳥遊書房
- Headmaster’s Voice (慶應義塾ニューヨーク学院)
- 巽先生の最終講義「最後の授業——慶應義塾とアメリカ」 Youtube版が公開されました!(CPA: 2021/03/15)
- 巽先生の最終講義「最後の授業——慶應義塾とアメリカ」がオンラインで開催されます!(13:00-14:30)(CPA: 2021/02/16)