2022/05/06

『三田文學』最新号(2022年春季号)発売中です!

『三田文學』最新号(2022年春季号)では、2021年 2月に逝去された鈴木孝夫先生の追悼特集「鈴木孝夫——ことばの宇宙」が組まれています。その豪快かつ繊細なお人柄を偲ぶ随想が五篇収録されるなか、英米文学専攻からは、髙宮利行先生による「行動の人——鈴木孝夫先生の想い出」、および井上逸兵先生による「翻訳と結婚と——鈴木孝夫先生が与えてくださったもの」が寄せられています。

本号からも新しい連載——辻仁成氏による「動かぬ時の扉」——が始まります。フランスのとあるアパルトマンの扉としての機能は失われたものの不思議に壁に残されたとある扉をめぐる作品です。閉ざされた扉だからこそ、その向こう側になにがあるのか……続きが待ち遠しい一作です。

おなじみの連載としては、佐藤元状先生による「映画評:電影的温故知新(第十五回)」。今回は、成瀬巳喜男の『流れる』を題材に、本作に登場する魅力溢れる「我が儘な女性たち」に光があてられます。

書評セクションは、佐藤光重先生による「紅葉かつ散る——尾崎俊介編『エピソード アメリカ文学者 大橋吉之輔 エッセイ集』を収録。戦後の日本アメリカ文学研究を牽引した大橋吉之輔先生の文章を弟子の尾崎俊介先生が編纂したという本書において、その随所にうかがわれる師弟間の「エピソード」の交錯をあらためて浮かびあがらせます。また、河内恵子先生による「過剰さの祝祭——川本直『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』」、巽先生による「ここに立ち入る者は、すべての望みを棄てよ——篠田節子『失われた岬』」も掲載。フィクションとノンフィクションの「戦闘的」な共存、および「岬」という磁場がもたらすドラマと思索が極めて刺激的に浮彫にされます。加えて、小谷先生による「異文化交流の賜物とは?」は、大串尚代先生による『立ちどまらない少女たち—— 〈少女マンガ〉的想像力のゆくえ』を対象に、その読みどころを提示されながら、アメリカ文学と少女マンガの稀有な出逢いを言祝ぎます。

ご関心のある方は、ぜひお手にとってみてください!



『三田文學』
No. 149(2022年春季号)
三田文学会
2022年 4月 11日発売
定価 1000円(税込)
※ご購入は三田文学会 HPの専用ページからどうぞ

【目次】
■巻頭詩
凍える雛のひとときのざわめきから 松尾真由美

■新連載
動かぬ時の扉 辻仁成

■小説
死人の口 片野朗延

■詩
table tennis 石松佳

■インタビュー
私学の学問 安藤礼二 [聞き手]粂川麻里生

■第二十八回三田文學新人賞 発表
受賞作 1000年後の大和人 松井十四季
佳作 あたう 坂崎かおる
選評 いしいしんじ/小池昌代/青来有一/持田叙子

■特集 鈴木孝夫―ことばの宇宙
■随筆
行動の人――鈴木孝夫先生の想い出 髙宮利行
鈴木孝夫先生の残像 泉邦寿
元祖エコ先生 マエキタミヤコ
翻訳と結婚と――鈴木孝夫先生が与えてくださったもの 井上逸兵
鈴木孝夫という父 川内由美子

■学生創作セレクション12
紫竜胆 中川朝子 解説 中川裕之

■連載
父と子――家康と信康(三) 岳真也
琉球弧歌巡礼りゅうきゅうこうたじゅんれい [第三回]崎山節さきやまぶし 宮沢和史
東京日記 [第三回]初めてのリョカン  クリストフ・ペータース [訳] 粂川麻里生
インティマシーの倫理 [第四回]世界の生地としての〈肉〉 山内志朗

■浅草の笑い[第四回]
浅草芸人盛衰記 浅草AKB総選挙 岡進平
大上こうじの浅草21世紀と浅草 大上こうじ

■文芸時評[第四回]
文学の境界線ボーダーライン  〈階級〉と〈家族〉の経済学 仲俣暁生
予言と言霊   出口王仁三郎と田中智学の言語革命[第八回] 鎌田東二

■短歌/随筆
歌評たけくらべ[第二回] 水原紫苑×川野里子

■俳句/随筆
融和と慰謝の俳句[第二回] 髙柳克弘

■映画評
電影的温故知新 [第十五回] 佐藤元状

■書評
尾崎俊介編『エピソード アメリカ文学者 大橋吉之輔 エッセイ集』 佐藤光重
川本直『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』 河内恵子
篠田節子『失われた岬』 巽孝之
大串尚代『立ちどまらない少女たち 〈少女マンガ〉的想像力のゆくえ』 小谷真理
宮内勝典『二千億の果実』 黑川英市
庵原高子『ラガーマンとふたつの川』 田中和生

新 同人雑誌評 佐々木義登/加藤有佳織
ろばの耳 慶英治/鈴木文枝

坂本忠雄氏のご逝去にあたりまして

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