2021/05/09

夢枕獏氏による『白鯨 MOBY-DICK』(KADOKAWA)が遂に刊行されました!

この度、夢枕獏氏による『白鯨 MOBY-DICK』が満を持して刊行されました!氏は、2019年 3月より『高知新聞』で『白鯨 MOBY-DICK』 を連載してこられ(『高知新聞』による紹介)、2019年 8月には日本メルヴィル学会第 7回年次大会にて、メルヴィル生誕 200周年記念講演会「白鯨とジョン万次郎」をお話しくださいました(CPA詳細、そのあらましは氏のあとがきにも記されています)。かくして、鯨漁に魅せられた土佐は中浜村の万次郎、紆余曲折をへて捕鯨船ピークオッド号にひろわれ、モービィ・ディックの世界にゆらりゆらりと乗り出します。各章冒頭に引かれるメルヴィル『白鯨』とも共鳴しながら、万次郎をはじめとする魅力的なキャラクターに溢れ奏でられる重奏的物語世界。ぜひご一読ください!


◆◆◆おれはねえ、その時思ったよ。
これは、哀しみの色だって。
モービィ・ディックの白、それは巨大な哀しみの色だろう。
おれだ、と思ったね。
こいつは、おれだ。
涙が出たね。
(第十二章「エイハブ、その脚を白鯨の贄とすること」374頁)◆◆◆




『白鯨 MOBY-DICK』
夢枕獏
四六変形判、536ページ
KADOKAWA, 2021年 4月
2,640円(本体2,400円+税)
ISBN: 9784041111628

【目次】
序章 徳富蘇峰京橋に万次郎を訪ね、奇っ怪なる話を聴くこと
一章 鯨組のこと
二章 神の鯨のこと
三章 万次郎海の大蛇に呑まれて鳥島に至ること
四章 万次郎片足の船長にして海の魔王エイハブと出会うこと
五章 万次郎ピークオッド号の乗り組員となること
六章 ピークオッド号、アルバトロス号とギャムすること
七章 人類の箱舟ピークオッド号のこと
八章 嵐に不思議なる火出現すること
九章 クイークェグの神ヨージョ運命を予言すること
十章  万次郎生まれて初めて鯨に銛を打つこと
十一章 ジェロボーム号から来た男のこと
十二章 エイハブ、その脚を白鯨の贄とすること
十三章 クイークェグ、自分の棺桶を作ること
十四章 万次郎海の森を発見すること
十五章 エイハブ、フェダラーと銛試しすること
十六章 白鯨その顎により神を裂くこと
十七章 スターバックのかくれんぼうのこと
十八章 万次郎マスケット銃にて試されること
十九章 最後の闘い、カモメを掴んだ手のこと
終章 万次郎の病床から見つかった二冊の本のこと

『白鯨のこと』 ―あとがきとして―

【関連リンク】
【関連書籍】
ハーマン・メルヴィル/八木敏雄訳『白鯨 上』(岩波書店、2004年)


ハーマン・メルヴィル/八木敏雄訳『白鯨 中』(岩波書店、2004年)


ハーマン・メルヴィル/八木敏雄訳『白鯨 下』(岩波書店、2004年)