2020/06/18

『世界文学へのいざない』(新曜社)が刊行されました!/巽孝之先生・宇沢美子先生が寄稿されています!

小倉孝誠先生(慶應義塾大学文学部・仏文学専攻)が編集を手がけられた『世界文学へのいざない――危機の時代に何を、どう読むか』(新曜社)が刊行されました!

慶應義塾大学文学部より、巽孝之先生、宇沢美子先生、小平麻衣子先生(国文学専攻)、関根謙(中国文学・『三田文學』編集長)、原田範行先生(英米文学専攻)、川島建太郎先生(独文学専攻)、坂田幸子先生(諸国語・スペイン語文学)、さらに松下優一先生(沖縄文学)、松本健二先生(大阪大学・現代スペイン語文学)、申明直先生(熊本学園大学・韓国文学文化)が執筆され、世界各国語の文学が「危機のなかの人間」をどのように描いてきたかを多角的に考察されています(出版社サイト紹介文より)。コロナウィルス感染症の拡大という歴史的出来事にいる今手にとるべき文学を、家族や他者、身体やジェンダー、都市表象、政治、歴史など様々な切り口で論じています。コラムや充実のブックガイドもあり、世界文学の豊穣を体験できる一冊です。ご関心お持ちの方、ぜひお手にとってみてください!

巽先生は、第I章 「アメリカ的自伝――マルコム X 『マルコム X 自伝』 ブラックムスリムの運命を鮮やかに描く」 および第III章 「黒人奴隷体験記の遺産――モリスン『ビラヴィド』 ポストモダン・ゴシックの命脈」 を、宇沢先生は第III章 「ヒステリー治療失敗記――ギルマン『黄色い壁紙』 女が日記を書くとき」 および 第VI章 「文明と野蛮――クッツェー『夷狄を待ちながら』 夷狄のいない帝国なんて......」 を担当されています。




題:世界文学へのいざない――危機の時代に何を、どう読むか 〈シリーズ ワードマップ〉
判型:四六型
頁数:328
出版: 新曜社
刊行:2020年 6月 9日
価格:2700円+税
ISBN: 9784788516830
※新曜社による本書紹介はこちらです

【目次】
はじめに
第Ⅰ章 自己と他者

  • 作家の内面――樋口一葉日記 人は読まれないために日記を書くのか 
  • 自己と他者――ジョイス『若い芸術家の肖像』 他者との交わりによって生み出される自己 
  • アメリカ的自伝――マルコムX『 マルコムX自伝』ブラック・ムスリムの運命を鮮やかに描く 
  • 青年の成長物語――バルザック『ゴリオ爺さん』 地方から都に出てきて社会を発見する 

コラム 自伝からオートフィクションへ

第Ⅱ章 家族

  • 「家」を生きる――巴金『家』因襲的家族制度に挑戦する 
  • 家族の変身物語――カフカ『変身』 長男の変身が家族を豹変させる 
  • スペイン児童文学の金字塔――フォルトゥン「セリア」シリーズ 少女の成長物語 
  • 血族と共同体――ガルシア=マルケス『百年の孤独』 遠くて近い〈みんな〉の物語
コラム ラテンアメリカ文学の衝撃

第Ⅲ章 身体と精神

  • 精神分析と上演――久生十蘭『刺客』『ハムレット』 狂気を演じることはすでに狂気である 
  • ヒステリー治療失敗記――ギルマン『黄色い壁紙』 女が日記を書くとき 
  • 病と芸術――T・マン『トリスタン』 健康で凡庸な生vs.病的で非凡な芸術

コラム 〈変態〉か〈詩〉か?──恋愛と精神分析 

第Ⅳ章 性愛とジェンダー

  • 恋愛・成長・結婚――オースティン『高慢と偏見』 恋愛は人を成長させるか 
  • 黒人奴隷体験記の遺産――モリスン『ビラヴィド』 ポストモダン・ゴシックの命脈
  • 悦楽とタブー――デュラス『愛人』 植民者の娘が現地の男と恋をする 

コラム やばい!! 『女の一生』 

第Ⅴ章 都市と表象

  • ロンドンの光と影――ディケンズ『オリヴァー・トゥイスト』『デイヴィッド・コパーフィールド』 大英帝国首都の公と私
  • ベルリンの幼年時代――ベンヤミン『一九〇〇年頃のベルリンの幼年時代』 子どもの身体が知覚したベルリン 
  • 彷徨と風景のパリ――ゾラ『制作』 遊歩者がまなざす第二帝政期のパリ 
  • 学校小説――バルガス=リョサ『都会と犬ども』 都市のなかの都市で展開する精緻な群像劇 

コラム 文学的表象にみる都市と田舎・郊外 

第Ⅵ章 異邦と越境

  • 〈西洋〉との出会い――鷗外と漱石の留学体験 人文学という科学の発見 
  • 帝国の中心と辺境――尹東柱と白石の詩 「満洲」と「内地」を行き来した朝鮮の詩人たち 
  • 文明と野蛮――クッツェー『夷狄を待ちながら』 夷狄のいない帝国なんて…… 
  • 同化がもたらす疎外――コンデ『心は泣いたり、笑ったり』 文学に目覚めるグアドループの少女 コラム 海を渡った日本文学 

コラム フランス語圏文学の多元性 

第Ⅶ章 社会と政治

  • 都市の貧困――林芙美子『放浪記』 労働者階級のモダン・ガール 
  • 米軍基地と都市の記憶――崎山多美『クジャ幻視行』 沖縄で書くとは? 
  • 戦火が映すヒューマニティ――阿壠『南京 抵抗と尊厳』 アジア的近代の焦点・南京陥落 
  • 戦争と女性――ルドゥレダ『ダイヤモンド広場』 スペイン内戦を五感で語る 

コラム 沖縄文学の過去と現在 

第Ⅷ章 歴史をどう語るか

  • 哲学の戦争――野上彌生子『迷路』 歴史の迷路に出口はない 
  • 第三の広場――崔仁勳『広場』 南でも北でもなく、小さな青い広場 
  • 「歴史」が踏み潰した言説――李鋭『旧跡 血と塩の記憶』 文革は中国人のアウシュヴィッツだった 
  • 戦後第二世代――ゼーバルト『移民たち』 ナチスを知らない世代による「過去の克服」

コラム ホロコーストと文学 

編者あとがき
さらに学ぶためのブックガイド
事項・作品名索引
人名索引


【関連リンク】



【関連書籍】
小倉考誠編 『世界文学へのいざない』(新曜社、2020年)