2013/11/11

Panic Americana #18 “Alternative”

Alternative

Panic Americana Vol. 18 は、"Alternative" を特集テーマとして掲げています。「二者択一」「代案」「(形容詞)慣習的方法をとらない」……その意味内容には、人を突いて行動を促すような鋭い言葉が並びますが、その一方で、「この道を行けば、どこか別の素晴らしい場所に出られるかもしれない」という希望を抱かせるような、優しい響きも、「オルタナ」という言葉は備えています。あらゆる価値への不安と不信に曇らされても、とにかく出かけてみよう。それを後押しする概念として、今年、本テーマを取り上げました。

制作の過程では、本当に多くの方々のご協力を頂きました。"Alternative" というテーマに対する認識も、先生方や皆様方のご教示に多くを負っています。そんな多くの後押し、それに、編集者一人一人の可能性の限界まで突き詰められた思索と生活、その二つが融合した複合体として、Panic Americana Vol. 18、出来上がりました。

日常的で同時代的、多くの方の思いが込められた、「オルタナ」。読者の方々に、少しでも楽しんでいただくことができれば幸いです。



Contents

もうひとつのアメリカン・スタディーズ(巽孝之)
巻頭は、巽孝之教授による、研究声明文。2014年度アメリカ文学会会長に決定した巽先生が今発信する、アメリカ文学研究のオルタナティヴとは?

別世界のリベンジ(小谷真理)
異世界への逃避旅行はいつでも甘美な誘惑。エドガー・ライス・バロウズに魅了され続けてきた小谷真理氏による、愛に満ちた書き下ろしエッセイ!

特集1 演劇の現在
オルタナティヴ・ワールドから読み解くハリウッド映画史(巽孝之×小谷真理×南波克行)
本誌ではおなじみの巽×小谷コンビに、『スティーブン・スピルバーグ論』を編集された映画評論家の南波克行氏を迎えて行われた特別鼎談。映画史をオルタナティヴに撃ちぬく、怒涛の12ページ!

Road to an Alternative Dream(奈良橋陽子)
『ラストサムライ』や『バベル』など数多くのハリウッド映画のキャスティングディレクターとして活躍される傍ら、東京学生英語劇連盟の総監督を務められている奈良橋陽子さんへのインタビュー。英語を母国語としない日本人学生たちへの指導法、御自身の経歴について伺いました。

バートルビーなんかこわくない?(坂手洋二)
演劇を通して一貫して社会問題に取り組み続けてきた、劇作家の坂手洋二さんをお迎えしたインタビュー。震災からの復興、原発問題、米軍基地問題と、課題が山積する現代日本に対して坂手氏が思う事とは?

オルタナと現実の狭間で(千木良悠子)
巽研究会出身で、現在、小説家・女優・劇作家として活躍されている千木良悠子さんへのインタビュー。御自身の劇団SWANNYの2013年度公演『パーフェクト奥様』『ゴミ、都市そして死』について、研究会時代の思い出について、語って頂きました。

The Power of Fictions(藤田直哉)
今年『虚構内存在』で単著デビューされた新進気鋭の評論家、藤田直哉さんへのインタビュー。虚構と共に生きる今日のための筒井康隆論。

2年半の気仙沼を訪ねて(佐々木貴久)

RAKUGOを世界へ!(桂かい枝)
英語落語の伝道師・桂かい枝さんを訪ねて、編集部員が大阪へ!英語との出会い、海外公演中のハプニング、海外でうけるネタ作りのための工夫などについてお話頂きました。

Alternative Japanese Studies through Lafcadio Hearn(小泉凡)
小泉八雲を卒業研究で扱っている編集部員が、八雲のひ孫でいらっしゃる小泉凡さんに直撃インタビュー!ご自身が携わっておられる地域文化伝承活動、これからの日本文化について。

巽研究会誌上講義
Children on the Air: Seymour’s Unfinished Wedding in "Raise High the Roof Beam, Carpenters" (小泉由美子)
The Southern Imagination Reconsidered: Gone With the Wind in the Context of the Great Depression (松本彩花)

イブとともに無人島へ(大串尚代)
慶應義塾大学英米文学専攻准教授の大串尚代氏による書き下ろしエッセイ。大のマンガ愛好家として知られる彼女が、無人島へのお供として選ぶオルタナティヴな一冊とは?

<オルタナティヴ>な音楽とは?(大和田俊之)
慶應義塾大学法学部准教授で、ポピュラー音楽研究家の大和田俊之氏によるオルタナティヴ音楽論。講義という日常と、音楽史の、交点に立つ。

私のオルタナティヴな一節(巽研究会OBOG)
合宿体験記 2013(巽研究会合宿係)
"Written by Takayuki Tatsumi" を読む(パニカメ某編集員)
Mita Gourmet World Tour(玉川理咲)

特集2 海外より
Ma Alternative(小林万里子)

カリフォルニアから近況報告(山口恭司)
巽研究会出身にしてエンサイツ株式会社代表取締役、サンフランシスコ在住の山口恭司さんによるエッセイ。フラワームーブメント発祥の地を舞台に戦う山口氏の志と挑戦とは?

Alternative Correspondence(Larry McCaffery and Takayuki Tatsumi)
アヴァン・ポップの伝道師ラリー・マキャフリー氏と巽孝之教授の文通を誌上公開!

パオロ・バチガルピ氏講演会 Science Fiction in American Literature(西川雄太)
SF界に衝撃を与えたThe Windup Girlの作者パオロ・バチガルピ氏により、慶應大学三田キャンパスで行われた講演の模様を、編集部員がレポート。SFの持つ力について語りつくした夏のひと時の熱気が蘇る!