■■推薦の言葉■■
ラリイ・マキャフリイ
(サンディエゴ州立大学教授・アメリカ文学専攻)
だが、これだけ雑多な連中なのに、ひとたびこの著者の手にかかると、一定の共通点があぶりだされる。彼らの先鋭的な芸術館はすべて、むかしなら西欧的アバンギャルドとからめて目されたであろう破壊的で境界侵犯的な手法で表現されていること。そして彼らはみな、洋の東西を問わず、高級か通俗かもおかまいなしに、素材を練り上げることでオリエンタリズムやオクシデンタリズムの紋切型を打破し、リミックス作業の果てに、かつてないほど解放的な芸術作品を創造しようとする衝動にかられていることが、判明するのだ。
本書がポストモダン文化論一般の領域において、とりわけ日本研究の領域において画期的なのは、著者・巽孝之の独特な批評と縦横無尽の傍証が融合した結果、1980年代後半に出現して以来いまも成長と変容を遂げつつあるジャパノイド文化について、世界初の信頼すべき認知地図が提供されたからである。このマシーンの燃料は新種のハイオク・ガソリン。ひとだびエンジンをかければ、巽の革命的なパラダイム・(ギア)シフトが入り、古くさいオリエンタリズム/オクシデンタリズムのパラダイムをお払い箱にしてしまう。いや、逆にいうなら、『フルメタル・アパッチ』が最大の威力を発揮するのは、むかしながらの道路を驀進するうち、いつしか歴史や経済、政治や文化が絡み合った脇道へと逸れてゆき、そしてジャパノイド的現実の砂漠の中心へと突進していく、まさにそのときなのである。
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巽教授著書・選書
日米現代文化特集@紀伊国屋書店 2006
目次
◆推薦の言葉(ラリイ・マキャフリイ)
◆巽孝之【選】(洋書:入手可書/(参考)絶版・品切書/(参考)和書