2003/12/01

過去のCPA Recommends:2003

●巽先生がキム・スタンリー・ロビンソン著『南極大陸』の解説を担当 

今月刊行されるキム・スタンリー・ロビンソン著『南極大陸』の解説を巽先生が担当されています。温暖化の影響を受ける南極大陸のマクマード基地を訪れたウェイドは、大男の作業補助員「X」、女性ガイドのヴァルたちと出会い、「氷の砂漠」へと旅立っていくが…?“火星三部作”で知られる著者キム・S・ロビンソンが放つ近未来アドベンチャー小説です。


キム・スタンリー・ロビンソン著、赤尾 秀子訳
『南極大陸』
<上><下>
(講談社文庫、2003年12月15日刊行)
<上><下>とも定価800円

●小谷真理さんがファンタジー小説2作品の解説を担当

小谷真理さんが最近刊行されたファンタジー作品2冊で解説を担当されています。まず『エリアドルの王国 3人の少女と秘石の予言』(フラヴィア・ビュジョール著、光文社)。14歳の誕生日を迎えた夜、ジャドとアンブルとオパールの3人の少女は、それぞれの家族から、不思議な力を持つ石を渡され、使命を告げられ旅に出る…。著者のフラヴィア・ビュジョールは、仏マスコミが「フランソワーズ・サガンの再来」と絶賛した13歳の少女。フランスでベストセラーとなったファンタジー小説、待望の邦訳です。
そしてもう一冊は『黄金の羅針盤』フィリップ・ブルマン著、新潮社)。両親を事故で亡くし、オックスフォード大学寮に暮らすライラは、明るく活発な少女。連れ去られた友だちと、監禁されてしまった北極探検家のおじを救うべく、ライラは黄金の羅針盤をもって北極に旅立つ…。1995年に発表された本作はカーネギー賞を受賞し、「20世紀最後のファンタジー」と絶賛され、このたび文庫化が実現しました。どちらも今話題の作品です。



フラヴィア・ビュジョール著、東野 曜子訳
『エリアドルの王国 3人の少女と秘石の予言』
(光文社、2003年11月20日刊行)
定価1700円


フィリップ・プルマン著、大久保 寛訳
『黄金の羅針盤』
<上><下>
(新潮文庫、2003年11月1日刊行)
<上><下>とも定価590円


●新時代のアメリカ演劇批評、刊行!
「シェイクスピアをアメリカの劇作家として読み直す。」慶應義塾大学法学部助教授・常山菜穂子さんの初の単著は、シェイクスピアをキーワードに、アメリカ演劇を植民地時代まで遡って読み解きます。「宗主国」イギリスの生んだ天才劇作家を、「植民地」アメリカの国民がいかに巧みに取り込んでいたことか。「アメリカ」と「演劇」を愛するすべての人におくる一冊。


常山菜穂子
『アメリカン・シェイクスピア―初期アメリカ演劇の文化史
四六判・310頁(国書刊行会、本体3200円)

*目次*
はじめに 小文字で始まるshakespeare
第一部
第一章 新大陸のシェイクスピア──三枚のポスターを通して
第二章 丘の上の地球座──初期ピューリタンの説教にみる世界劇場
第二部
第三章 いたずらオセロー──フレデリック・ダグラスの『自伝』と黒人大衆演劇の伝統
第四章 オセローの息子たち──ユージーン・オニール『すべて神の子には翼がある』再考
第五章 闘うジュリエット──女優アナ・コーラ・モワットと家庭神話
第六章 男装のロミオ──シャーロット・クッシュマンをめぐる言説
第七章 プロスペロの脚本──『アンクル・トムの小屋』と『王様と私』の文化帝国主義
むすびに 新しいアメリカ演劇史にむけて
あとがき

『アメリカ研究入門』第3版が間もなく発売
初版刊行が1969年という長い歴史を持つテキスト『アメリカ研究入門』の最新版が間もなく発売されます。今回刊行されるエディションは第2版(1980年)以来となる改訂版で、歴史・文化・政治・経済など各分野の第一人者が執筆しており、巽先生は「文学」の項を担当しています。幅広い分野でのアメリカ研究の入門書となる一冊です。
ちなみに、「文学」の項については、1969年の初版では日本アメリカ文学会の設立者でもある故・大橋吉之輔慶大名誉教授が、そして1980年の第2版では渡辺利雄・東大名誉教授が担当されており、まさに日本におけるアメリカ文学研究の歴史が反映されているといえるでしょう。



五十嵐武士・油井大三郎 編
『アメリカ研究入門』
[第3版]
(東京大学出版会、2003年10月27日刊行)
A5判 304頁 本体価格 2800円

〈主要目次〉
序 アメリカを研究するということ(五十嵐武士)
第1部 方法と視座
アメリカ研究の変遷(有賀夏紀)
現代アメリカ研究の枠組み(古矢 旬)
第2部 歴史と価値意識
歴史(植民地から建国へ 和田光弘/1812年戦争後 紀平英作)
宗教(森 孝一)
思想・哲学(杉田 敦)
教育(苅谷剛彦)
第3部 文化と多文化主義 
文学(巽 孝之)
芸術とポピュラーカルチャー(生井英考)
人種・エスニシティ・階級(松本悠子)
ジェンダー(高橋裕子)
第4部 生活基盤と開発
経済(林 敏彦)
科学技術(橋本毅彦)
地理・環境(畠山武道)
第5部 国家と国際関係
法(寺尾美子)
政治(久保文明)
国際関係(西崎文子)
日米関係(文化 遠藤泰生/経済・外交・軍事 加藤洋子)
第6部 課題と展望
展望:アメリカ研究の課題(油井大三郎)
第7部 調査と準備作業
電子媒体による資料調査(阿部小涼)
[付録]年表・地図

●巽ゼミ6期生・宮本菜穂子訳による『オズのふしぎな魔法使い』いよいよ刊行!

ライマン・フランク・ボーム著『オズのふしぎな魔法使い』が約22年ぶりに完全新訳として刊行されます。『オズ』と言えば、世界各国で翻訳され映画化・ミュージカル化されるなど今もなお多くの人々に親しまれているアメリカ児童文学の古典。カンザスの大平原に農夫のヘンリーおじさん、エムおばさんと愛犬のトトと一緒に暮らしていたごく普通の少女ドロシーが、オズの国に住む奇想天外な登場人物たちとともに繰り広げる前途多難な大冒険は、全世界何万人も<こどもたち>を魅了してきました。今回刊行される新版『オズ』には、ウィリアム・ウォレス・デンズロウによる伝説のイラスト97点を収録。そして翻訳を手掛けたのは巽ゼミ7期生・宮本菜穂子です!大人も子供も楽しめる「永遠のファンタジー小説」を、ぜひこの新訳でどうぞ。



松柏社叢書 アメリカ古典大衆小説コレクション2
亀井俊介+巽 孝之 監修
『オズのふしぎな魔法使い』
ライマン・フランク・ボーム 著
ウィリアム・ウォレス・デンズロウ 画
宮本菜穂子 訳
巽 孝之 解説
四六判/定価1,800円+税
総頁数:259p(本文228p+解説30p)

***訳者・宮本菜穂子の論文Rediscovering Oz: An attempt to Relocate The Wonderful Wizard of Oz in American Literary Historyはこちらでご覧になれます。

『アメリカ文学史---駆動する物語の時空間』増刷のお知らせ

2003年1月に発行された巽孝之『アメリカ文学史』がこのたび増刷されました。今回の第2刷では、「第8章 アメリカ文学の正典を読む」でのスタインベックの作品が『エデンの東』に変更されているともに、年表(大串尚代作成)には2003年現在までの最新の動向が追加されています。またOG・西川朝子による文学史地図も全面改訂。新しく手描きの1枚も加わり、さらなる充実をはかりました。まさに「巽ゼミが総力を挙げて作り上げた」米文学史テキストとなっています。




『アメリカ文学史---駆動する物語の時空間』
慶應義塾大学出版会
本体2,400円
2003年8月8日発行
<もくじ>
はじめに--「アメリカ文学史」とは何か
第1章 アメリカ文学史序説--ロード・ナラティヴの千年紀
第2章 神権制下の文学--ピューリタニズム
第3章 独立革命の文学--リパブリカニズム
第4章 膨張主義の文学--トランセンデンタリズム
第5章 進化思想の文学--ダーウィニズム
第6章 荒地以後の文学--コスモポリタニズム
第7章 冷戦危機の文学--ポスト・アメリカニズム
第8章 アメリカ文学の正典を読む
参考文献
アメリカ文学年表
索引
<そのほかコラム16編、アメリカ文学史地図つき>


『岩波講座 文学12 モダンとポストモダン』に巽先生のマーク・トウェイン論

2002年9月より刊行が開始された『岩波講座 文学』の最新刊(第12巻)に巽先生が参加しています。「モダンとポストモダン」と題された今回、巽先生はマーク・トウェインをテーマに、モダンからポストモダンへの変容を考察しています。



『岩波講座 文学12 モダンとポストモダン』
A5判・280頁 
本体3400円
目次
まえがき 小森陽一
●モダニズムの構図
1 既知のように語っていいのだろうか―モダニズム管見---高山宏
2 モダニズムという神話---富山太佳夫
●ポストモダンへの契機
3 テクノロジーと文学―マーク・トウェインを境に---巽孝之
4 パロディについて---小林正明
5 〈語ること〉と〈呼びかけること〉とのあいだで―言語の倫理性をめぐる思考のために---熊野純彦
6 黒の脱構築―ダンディズムからシャネルまで---山田登世子
●モダニズムの諸相
7 『シャンディ』と『ジャック』を読む―道化的知性の残照---伊藤誓
8 ジャン・パウルを読む―情報と文学のあわいに---今泉文子
9 飛散してゆくイメージ―レサマ=リマの『パラディーソ』をめぐって---旦敬介
10 『ユリシーズ』の死生観---道家英穂
11 平賀源内の狂文と物語---長島弘明
12 折口信夫---松浦寿輝
13 軟体と軍隊―萩原朔太郎「青猫体」とは何か---瀬尾育生
14 襞,そして律動する言葉―アンドレイ・ベールイ『ペテルブルク』を読む---貝澤哉

●マーク・ダニエレブスキーの初短篇が雑誌『新潮』に掲載

アメリカ若手作家マーク・ダニエレブスキーの初短篇が月刊誌『新潮』2003年7月号に掲載されています。ダニエレブスキーと言えば、デビュー長篇『紙葉の家』がバベル・プレス主催のベスト翻訳書2002第一位に選出され、当HPのCPA Recommendsでも取り上げた作家ですが、今回初めてとなる短篇が登場しました。『紙葉の家』と同じく嶋田洋一氏の訳による短篇、ぜひチェックしてみて下さい。

マーク・Z・ダニエレブスキー
真夜中のすべての光
――サルバトーレ・ヌフロ・オレホン『エロrの物理学』とリヴィア・バッシル『物理学の心理学』……
嶋田洋一訳・解題
『新潮』2003年7月号
6月7日発売・定価950円

●塚本晋也監督のムック発売!

第59回ベネチア国際映画祭審査員特別大賞受賞の「六月の蛇」が公開中の塚本晋也監督。彼に関するムックがついに登場しました。映画監督・塚本晋也の活動を集大成したこの本には、初期作品から塚本作品に並々ならぬ関心を寄せてきた巽先生も参加。そのほか、田口トモロヲ、竹中直人、金守珍、塚本耕司、藤井かほり、本木雅弘、りょう、鈴木京香、中村達也、黒沢あすか、石川忠、小島秀夫、田島昭宇、向井秀徳、篠山紀信、岩松了、内田春菊、山根貞男、ギャスパー・ノエ、大谷健太郎、利重剛、三池崇史証言を収録しています。最新作からのスチールをはじめ、豪華写真も多数!


『塚本晋也読本 普通サイズの巨人』
5月28日(水)発売
A5判ムック/216頁/定価1,680円(税込)
(キネマ旬報発行)

***なお、塚本監督、『六月の蛇』はノベライズで小説デビューされており、映画とは異なるシーン有!こちらも注目です!



塚本晋也
『六月の蛇』
2003年4月刊行
四六判上製
208頁
定価1,400円(税込)
マガジンハウス刊

***第59回ベネチア国際映画祭審査員特別大賞受賞
海獣シアター製作 塚本晋也監督作品「六月の蛇」
渋谷シネ・アミューズ、銀座シネ・ラ・セット他で公開中


●「小説トリッパー」に巽先生と小谷真理さん登場

「小説TRIPPER」最新号はファンタジー特集。振り返ってみれば、ハリー・ポッター、指輪物語など、近年の大ヒット作品はファンタジーばかり。いま、ファンタジーがこれほどまでに受け入れられる理由は何なのか。高橋源一郎氏と大塚英志氏の対談、高村薫氏のインタビューからこの謎に迫ります。ファンタジー専門家の小谷真理さんはもちろん、巽先生もアメリカン・ファンタジーの源流を辿るエッセイを寄せています。

*小説TRIPPER 2003 夏季増大号
[特集]なぜ、いまファンタジー?
[対談]「歴史」と「ファンタジー」
高橋源一郎×大塚英志
[特別インタビュー]「ファンタジー」から遠く離れて
高村薫 インタビュアー:由里幸子
[エッセイ] 世界のファンタジーのいま
巽孝之 「アメリカン・ファンタジーの起源」
小谷真理 「こわれた世界、もうひとつの祝祭」 ほか
その他の執筆陣は、井辻朱美・中条省平・松永美穂・石田衣良・小川洋子・小澤征良・乙一・恩田陸・古川日出男・本多孝好の各氏。
(特別定価980円 6月13日発売)

『マーク・トウェイン―研究と批評』第2号刊行

日本マーク・トウェイン協会の学会誌『マーク・トウェイン―研究と批評』の第2号が刊行されました。今回の特集は「マーク・トウェインと探偵小説」。第一線で活躍するトウェイン学者4人が、トウェイン作品に盛んに用いられた探偵小説という「仕立て」を再検討するシンポジウムです。また、シリーズエッセイ「マーク・トウェインとわたし」には、巽先生がエッセイ「あの年、エルマイラで」を寄稿。コーネル大学留学中の恩師ジョナサン・カラーと『ハックルベリイ・フィン』に関する秘話を語っています。



『マーク・トウェイン―研究と批評』
第2号(April 2003)
特集 マーク・トウェインと探偵小説
[シンポジウム] 後藤和彦 平石貴樹 小池滋 辻和彦
論文 朝日由紀子 辻本庸子 林康次
シリーズ・エッセイ 亀井俊介 那須頼雅
巽孝之「あの年、エルマイラで」ほか
南雲堂刊行、全128頁、1,800円

***2003年度 マーク・トウェイン協会シンポジウムテーマ決定!
「マーク・トウェインとファンタジー」
司会・講師 巽孝之(慶應義塾大学)
講師 志村正雄(元東京外国語大学)
有馬容子(城西国際大学)
小谷真理(文芸評論家)
2003年10月10日(金)名古屋近辺で開催予定。参加自由。
(詳細は追ってこのページでお知らせいたします)

●あの名著が文庫で復刊!
1997年にトレヴィルから刊行されたものの、近年入手困難になっていた『廃墟大全』が中公文庫から再刊されました! 文学・美術・建築・映画・写真等に登場する「廃墟」を、16人の気鋭研究者たちが脱領域的に徹底検証し「廃墟の美学」を詳らかにします。豪華執筆陣による鮮やかな論考に加え、ヴィジュアル資料も見ごたえ充分。これは買いの一冊です!


『廃墟大全』
中公文庫、本体895円

目次
谷川渥 はじめに
巽孝之 ケープ・コッドの渚で 生物と人工物の巨大廃墟を擦り抜けるネットランナーたち
――ソロー以後のレッカー文学史
小谷真理 瞼の裏の宮殿
――ポール・パークの記憶の聖墓
滝本誠 建築の「廃墟」、人体の「廃墟」
――A.タルコフスキー『ノスタルジア』からD.フィンチャー『セブン』へ
飯沢耕太郎 死せる視線
――写真の廃墟解剖学
1 廃墟への憧れ 2 戦争と廃墟 3 デッド・テック 4 死とエロス 5 廃墟への融合
小池寿子 廃墟のメタモルフォーズ
――パリ、サン・ジノサン墓地 
レ・アールの噴水の下に潜む、あらゆる死体を食らい尽くしてきた廃墟
岡田哲史 十八世紀ローマの廃墟をめぐる覚書
――ピラネージの時代
谷川渥 サー・ジョン・ソーンズ・ミュージアム
――廃墟と断片の美学
森利夫 「ザ・ピクチャレスク」としての廃墟
――十八世紀英国の美意識と人工廃墟
今泉文子「廃墟」とロマン主義 断片が生い育つ
――ティーク、ノヴァーリスに見るロマン派の廃墟のモチーフ
岡林洋 フリードリヒ、ブレッヒェンにみる廃墟のテーマ
――その美的仮装(イロニー)と偽装(フェイク)の計略
種村季弘 真新しい廃墟
――ノイエ・ザハリヒカイト廃墟画
中野美代子 ピラネージなき中国
――紙上の楼閣から廃屋まで――
四方田犬彦 廃墟を前にした少年
――七生報国の大楠公碑と、紅衛兵の拠点「円明園」
飯島洋一 リアルな廃墟
――ウィーン、神戸
永瀬唯 喪失の荒野『新世紀エヴァンゲリオン』
――そしてアイ(ぼく)だけが残った
日野啓三 廃墟
――鉱物と意識が触れ合う場所
谷川渥 廃墟総論
――あとがきにかえて

『紙葉の家』がベスト翻訳書第一位

嶋田洋一さんが翻訳し、現在多くの書評が絶賛するアメリカ若手作家マーク・ダニエレブスキーのデビュー長篇『紙葉の家』(ソニーマガジンズ)が、バベル・プレス主催のベスト翻訳書2002第一位に選出されました。2000年に発表された原著は、フィクションの極北とでもいうべき物語と凝りに凝った造本により、高い文学的評価を受けている傑作です。すでに、Panic Americana #5 (2000)に掲載されたLarry McCafferyによる書評(本邦初書評)、巽孝之先生の『アメリカ文学史のキーワード』
(講談社現代新書、2000年)を通じて御存知の方は多いはず。究極のフィクションを最上の翻訳でぜひ!

Read this novel with skepticism for the claims I've made for it, read it for insights into the nature of the unknown or unrepresentable, read it to see where the novel is heading, read it to scare yourself silly. But read it. ---Larry McCaffery (Panic Americana #5, p.39)



『紙葉の家』
ソニー・マガジンズ刊
全805頁
本体4,600円

『ベン・ハー キリストの物語』 刊行開始!

「アメリカ古典大衆小説コレクション」の刊行がついに開始されました。第一回配本は、19世紀最大級のベストセラーBEN-HUR: A Tale of the Christ (1880)。時はキリスト生誕の時代。高貴な血をひくユダヤ人ベン・ハーがローマ総督暗殺の濡れ衣を着せられ奴隷の身に貶められながらも、自分のあるべき姿を追い求め、ついにに復讐を果たす・・・。中東地域へのエキゾチックな視線、奴隷制度への考察など、当時のアメリカを知るうえでも重要な記述を含む一大歴史スペクタクルを、ぜひ新訳で。18ページにおよぶ亀井俊介先生の解説も読み応えたっぷりです。




『ベン・ハー キリストの物語』 
亀井俊介・巽孝之 監修
アメリカ古典大衆小説コレクション (松柏社)
辻本庸子・武田貴子訳、亀井俊介解説
松柏社刊行、全596頁、本体3,000円

***次回配本は、巽ゼミ7期生・宮本菜穂子訳による『オズのふしぎな魔法使い』(巽孝之解説)です!

●米文学史テキスト決定版!

従来のアメリカ文学史観を刷新する冒険的な試みが話題を読んだ『アメリカ文学史のキーワード』から2年。巽孝之による新たなアメリカ文学史のテキストが登場しました。『アメリカ文学史のキーワード』の基本的な枠組みを受け継ぎつつも、アメリカ文学を「ロード・ナラティヴ」と位置づける序文によって地政学的な関心を全面に押し出し、さらに、読者からリクエストの多かった作品ごとの精読をコラムで補強した増補版です。アメリカ文学史地図やアップデート版文学年表などの資料に加え、映画化された文学作品のスチール写真も散りばめらた理想の教科書。巽先生も納得のディレクターズカット版です。

☆大串尚代をはじめ、巽ゼミ出身者も数多く参加しています!
『アメリカ文学史---駆動する物語の時空間』発売を記念して、CPAでは『アメリカ文学史のキーワード』書評集を特別公開しています。こちらからどうぞ。


『アメリカ文学史---駆動する物語の時空間』
慶応義塾大学出版会
本体2,400円

<もくじ>
はじめに--「アメリカ文学史」とは何か
第1章 アメリカ文学史序説--ロード・ナラティヴの千年紀
第2章 神権制下の文学--ピューリタニズム
第3章 独立革命の文学--リパブリカニズム
第4章 膨張主義の文学--トランセンデンタリズム
第5章 進化思想の文学--ダーウィニズム
第6章 荒地以後の文学--コスモポリタニズム
第7章 冷戦危機の文学--ポスト・アメリカニズム
第8章 アメリカ文学の正典を読む
参考文献
アメリカ文学年表
索引 <そのほかコラム16編、アメリカ文学史地図つき>

『網状言論F改 ポストモダン・オタク・セクシュアリティ』刊行

2000年夏、東浩紀氏の個人サイトで始まった仮想討議、網状言論。2001年秋のシンポジウム「網状言論F」を経て、このたびついに書籍化が実現しました。
本書はシンポジウムでのプレゼンテーションに加え、東浩紀氏・斎藤環氏・小谷真理氏による語り下ろし鼎談も収録。「オタク」をめぐる熱きトークバトルが展開されています!



東浩紀 編著
『網状言論F改 ポストモダン・オタク・セクシュアリティ』
装幀:西島大介+ミルキィ・イソベ
青土社
本体1400円(税別)
2003年1月25日発行予定

* 目次
はじめに 東浩紀
網状言論F・プレゼンテーション
* 動物化するオタク系文化 東浩紀
* セクシュアリティの変容 永山薫
* 「萌え」の象徴的身分 斎藤環
* Pity, Sympathy, and People dicussing Me 伊藤剛
* オタク第一世代の自己分析 あくまで個人的立場から 竹熊健太郎
* おたクィーンはおたクィアの夢を見たワ。 小谷真理
網状言論F改・鼎談 ポストモダン・オタク・セクシュアリティ 東浩紀+斎藤環+小谷真理
1. ポストモダン
2. オタク・やおい・動物化
3. ギャルゲーのセクシュアリティ オタクのジェンダー・パニックふたたび
網状言論F改・後記
* 網状の言論を解きほぐしていくこと 伊藤剛
* 越境する蜜蜂 永山薫
参考文献