2000/02/17

Kotani Mari Essays:読むサラダ3



新郎新婦はゲーム好き テーマパークで「宝探し」

 ついさきごろ、10年近くいっしょに暮らしていたとあるカップルが、ついに結婚式を挙げました。家族双方の合意がすべて得られるまでじっくり待った、まさに満を持しての式だったのですが、力をこめたのは、合意の象徴たる式以上に、披露宴のほうだったかもしれません。
 わたしたち夫婦も参加を要請されました。出席、ではなく、参加です。
 というのもーー実は、このカップル、無類のゲーム好き。
 彼らと知り合う前、わたしはゲームといえば、トランプくらいしか知りませんでした。ゲームには、勝負事というけっこう面倒な特徴があります。ナマケモノのワタシなどは、もうやる前から、考えるだけでも億劫。受験だ、昇進だ、売り上げだと、来る日も来る日も勝負事のようなものにかかわらざるをえない人生の暗黒面を連想してしまうからです。負けてイタイ思いをしたくないばっかりに、つねに弱い心をかばってしまう性格がつちかわれたせいなのです。だから勝負事のイベントとしては花形であるスポーツ観戦なども、ほとんど省略。
 ところが、その友人宅にかつて夫ともにお邪魔したとき、海外のボードゲームから日本のTVゲームまで、簡単なものから複雑なものまでなかば強制的に教わって、あ、これはけっこうイケるかも、と夢中になってしまいました。
 ゲームとは、ひとりで冷や汗をかきながら負け続けるものではなく、美しい駒の感触を楽しんだり、なによりチームを組んであれこれ話し合ったりする共同作業のおもしろさがある、とってもエキサイティングなものだったのですね。
 そんなわけで、このカップル、両家そろっての初顔合わせは、家族対抗ゲーム合戦になりました。家族にはそれぞれいろいろな思惑はあったでしょう。が、ゲームを通して、けっこう打ち解けたのだそうです。もちろん、ちゃんと賞品も出しましたしね、と説明する若夫婦のキャラクターもありますが。
 披露宴は、お客さん全員参加のゲーム大会になりました。小さなテーマパークを借りて、嫁も婿も舅も姑も親戚の叔父さん叔母さん友人恩師もぜんぶが参加して、一般客にまじって遊びながら、いろんなところに隠された「お宝」を集めていくという、スタンプラリー形式のゲーム大会です。
 たしかに、普通の披露宴といえば、お食事して祝辞を聞いて終わるものですが、彼らの披露宴は、今まで知らなかった関係者たちと助け合ったり競い合ったり、摩訶不思議なパーティとなったのでした。いやはや楽しかった。でも、全員参加型の披露宴って、けっこう体力がいるものですね。


(読売新聞日曜版 2006年6月18日13面に掲載)

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