2021/06/19

【祝重版!】『別冊 NHK 100分 de名著 時をつむぐ旅人——萩尾望都』が絶賛刊行中!小谷先生による「『トーマの心臓』――究極の愛と、解放される魂」が寄稿されています!

過日、NHK Eテレ新春スペシャル「100分de萩尾望都」が大好評のうちに放送されましたが(CPA詳細)、この度、『別冊 NHK 100分 de名著 時をつむぐ旅人——萩尾望都』が出版、現在、重版をむかえ絶賛刊行中です!

本書では、まずは先生方がいかにして萩尾望都作品と(衝撃の)出逢いを経たかが綴られ、四人の先生方がそれぞれ『トーマの心臓』、『半神』&『イグアナの娘』、『バルバラ異界』、『ポーの一族』を読み解かれます。小谷先生による「『トーマの心臓』――究極の愛と、解放される魂」は、初読における『トーマの心臓』の「分からなさ」を出発点としながら、「少年」というカテゴリと同時代の女性解放運動——とりわけ、性の場における支配-被支配の権力構造——とを連動させ、本作を一つの SF作品として深く細やかに読解してくださいます。続く、ヤマザキマリ先生による「『半神』『イグアナの娘』――実存の命題に迫る母娘の寓話」は、萩尾望都作品に人間の屈折した精神を直視する姿勢を見出されながら、子供時代における不条理との邂逅、とりわけ母娘関係に切り込みます。

中条省平先生による「『バルバラ異界』――現代の巫女が生みだした SFの枠を超える傑作」は、カニバリズムを主軸の一つとしつつ、人間の孤独と原初的生命体との集団化(というユートピアニズム)のあいだを揺れ動く作品として見据えながら、(思考の)冒険の場としてのパラレルワールドの意義をお教えくださいます。また、夢枕獏先生による「『ポーの一族』――ひとりではさびしすぎる新たな旅の始まり」は、とりわけ登場人物オービン卿を「読者」としていかに読まれてきたか、萩尾望都作品から「作家」として何を受け取られてきたかが綴られます。加えて、萩尾望都先生へのスペシャルインタビューも特別掲載!上記それぞれの作品について軽妙洒脱に語られます。全体をつうじて、固有名詞や専門用語には注釈が付され、作品からの図版も充実!巻末には萩尾望都略年表も収録されています。ご関心のある方は、ぜひご一読ください!
 



『別冊 NHK 100分 de名著 時をつむぐ旅人——萩尾望都』
小谷真理、ヤマザキマリ、中条省平、夢枕獏
AB判、184ページ
NHK出版、2021年 5月 25日
定価: 1,210円(本体1,100円)
ISBN: 978-4-14-407271-0

【目次】
はじめに——ここではない、どこかへ!(秋満吉彦)
  1. 『トーマの心臓』――究極の愛と、解放される魂(小谷真理)
  2. 『半神』『イグアナの娘』――実存の命題に迫る母娘の寓話(ヤマザキマリ)
  3. 『バルバラ異界』――現代の巫女が生みだした SFの枠を超える傑作(中条省平)
  4. 『ポーの一族』――ひとりではさびしすぎる新たな旅の始まり(夢枕獏)
萩尾望都先生へリクエスト
萩尾望都スペシャルインタビュー

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