本書は、2016年刊行のクリスタン・ミラー編 Emily Dickinson’s Poem: As She Preserved Them から 50篇を厳選し、詩の原文(全文)と日本語訳、先生方によるご解説を収録するとともに、各詩作品に対する後世に生きた/生きるアーティストたちによる眩い応答を、九つのセクション——音楽 / アート / 絵本 / 映画 / 演劇 / 詩と小説 / 書評 / 評論とエッセイ / インタビューと講演——をとおしてお教えくださいます。また、末尾には「エミリ・ディキンスンに関するサイトの紹介」「エミリ・ディキンスンを巡る人々」「エミリ・ディキンスン年表」を含めた詳細にわたる「補遺」も収録されています。図像も豊富な美しい一冊。きっとお気に入りの一篇が見つかります。ご関心のある方は、ぜひお手にとってみてください!
『ミラー版 エミリ・ディキンスン詩集——芸術家を魅了した50篇 <対訳と解説>』
編訳著:朝比奈緑、下村伸子、武田雅子
A5判上製、450頁
小鳥遊書房、2021年 5月 28日
本体 4,200円+税
ISBN: 9784909812513
【目次】
I: 音楽
- Because I could not stop for Death – 「私が死のために立ち止まることはできなかったので」
- There came a Wind like a Bugle – 「風が来たー鳴り響くラッパのように」
- It’s such a little thing to weep 「泣くのはこんなにささやかなこと」
- I like to see it lap the Miles 「それが何マイルも舐めるのを見るのが好き」
- Like Rain it sounded till it curved 「雨のように聞こえた — やがて音の向きが変わり」
- If I can stop one Heart from breaking 「もし一人の心が裂けるのを私が止められるなら」
- As imperceptibly as Grief 「悲しみのように気づかれないでそっと」
- There is a solitude of space 「場の孤独あり」
【紹介される芸術家】
アーロン・コープランド/高田渡/ゴードン・ゲティ/武満徹/レオ・スミット/アンドレ・プレヴィン/アリス・パーカー
II: アート
- It might be lonelier 「もっと寂しいかもしれない」
- The Poets light but Lamps – 「詩人はただランプを灯し」
- I took my Power in my Hand – 「私は手に力を握りしめて」
- A Light exists in Spring 「こんな光が春に在る」
- This World is not conclusion. 「現世は終わりではない」
- The Soul’s distinct connection / With immortality 「魂の不滅との / はっきりとした結びつきは」
- Before you thought of Spring 「春の訪れを想いもしないうちに」
- I dwell in Possibility – 「私は可能性の中に住まう」
- The Mushroom is the Elf of Plants – 「キノコは植物の妖精」
【紹介される芸術家】
ジョセフ・コーネル/ジュディ・シカゴ/マーガレット・テイラー/ウィル・バーネット/レスリー・ディル、レリーフ/ロニ・ホーン/メアリー・フランク/ピーター・クラズニケヴィッツ
III: 絵本
- I’m Nobody! Who are you? 「私は名無し!あなたはだあれ?」
- To make a prairie it takes a clover and one bee, 「大草原をつくるには一本のクローバーと蜜蜂一匹が必要」
- Who has not found the Heaven – below – 「下のこの地で天国を見つけられなかった者は」
- “Hope” is the thing with feathers – 「「希望」は羽根を持つもの」
- There is no Frigate like a Book 「快速帆船とて、一冊の本にはかなわない」
- Tell all the truth but tell it slant – 「真実はすべて言うべし、ただし斜めに言うこと」
- I started Early – Took my Dog – 「朝早く、犬を連れて出かけた」
- A narrow Fellow in the Grass 「細いやつが草むらの中で」
【紹介される芸術家】
レックス・シュナイダー/バーバラ・クーニー/バーリー・ムテン/マット・フェラン/チー・チャン/エリザベス・スパイアーズ/クレア・A ・ニヴォラ/ジェイン・ヨーレン/ナンシー・カーペンター/マーティ・フィグリー/アンドリュー・デグラフ
IV: 映画
- Two Butterflies went out at Noon - 「二匹の蝶が正午に出かけて行った」
- If you were coming in the Fall, 「もしあなたがこの秋にいらっしゃるなら」
【紹介される芸術家】
ジョアン・チェン/テレンス・ディヴィス
V: 演劇
- This is my letter to the World「これは世に宛てた私の手紙」
- I died for Beauty – but was scarce 「私は「美」に命を捧げました……」
- Wild nights – Wild Nights! 「嵐の夜、嵐の夜!」
【紹介される芸術家】
マーサ・グラハム/テネシー・ウィリアムズ/ウィリアム・ルース
VI: 詩と小説
- The grave my little cottage is, 「私の小さなお家は、お墓です」
- Ample make this Bed 「この寝床をゆったりと」
- I felt a Funeral, in my Brain, 「私は脳の中に、葬式を感じた」
- There’s a certain Slant of light, / Winter Afternoons – 「冬の午後には / ある斜めの光が在る」
- Of all the Souls that stand create – 「創造されたすべての魂の中から」
- My life closed twice before it’s close; 「私の人生はその終わりの前に二度終わった」
- I felt my life with both my hands 「私の命というものに両手で触れてみた」
- A Pit - but Heaven over it - 「奈落、でも天国は真上に」
【紹介される芸術家】
リチャード・ブローディガン/ウィリアム・スタイロン/マリリン・ロビンソン/マルグリット・デュラス/ジョン・エヴァンゲリスト・ウォルシュ/アンナ・タトル・ヴィレガス/吉増剛造/日野啓三
VII: 書評
- I like a look of Agony, 「私は苦悩の表情が好き」
- The Spirit lasts – but in what mode – 「霊魂は存続するーでもどのようなかたちで」
【紹介される芸術家】
ウィリアム・D・ハウエルズ/マリアン・ムア
VIII: 評論とエッセイ
- A Route of Evanescence 「消滅の軌道」
- The missing All, prevented Me 「すべてを見失うことで ……」
- My Life had stood – a Loaded Gun – 「私の人生は、装填された銃であった」
- Four Trees - upon a solitary Acre - 「寂しい土地に、四本の木が」
- ’Tis little I – could care for Pearls – 「真珠のことなど、ほとんど気にならなかった」
- After great pain, a formal feeling comes – 「大きな痛みのあと、型にはまった感情が訪れる」
- We grow accustomed to the Dark – 「私たちは暗闇に慣れるようになる」
【紹介される芸術家】
エイミ−・ローウェル/リチャード・ウィルバー/アドリアンヌ・リッチ/スーザン・ハウ/辻邦生・水村美苗/アダム・ゴプニック/ジェイン・ハーシュフィールド
IX: インタビューと講演
- The Mountains – grow unnoticed – 「山々は不意に大きくなる」
- His mind of man, a secret makes 「秘密が、彼の人としての心を形づくる」
- Success is counted sweetest 「成功とは……」
【紹介される芸術家】
ロバート・フロスト/ダニエル・キース/ギャリソン・キーラー
補遺
エミリ・ディキンスンに関するサイトの紹介
エミリ・ディキンスンを巡る人々
エミリ・ディキンスン年表
詩索引
人名索引
【関連リンク】