本書『教室の英文学−−英文学で教える・英文学を教える』は、日本英文学会関東支部による編集、全 31本の論考を収録。序論に加え、第一部「英語を教える」、第二部「社会・文化を教える」、第三部「英文学を教える」、および付録より構成されています。「教室」という舞台を設定することを通じ、読者個人の内面に留まりがちな文学経験を、記憶・共有・議論可能なものにし、文学作品が内包する新たな地平の開拓を目指します。また、近年の日本の大学の英語教育における反・英文学的状況に憂慮を示し、異議を唱えるものとして、本書は構想されています。
巽先生による序論「今、日本で、アメリカ文学にどう取り組むか?−−学問と批評のインターフェイス」は、「精読」と「クロース・リーディング」の関係を整理した上で、ポーの「盗まれた手紙」(1844), ホーソーンの『緋文字』(1850), メルヴィルの「代書人バートルビー」(1853), ひいてはバースの『レターズ』(1979), 映画『ダンス・ウィズ・ウルヴズ』(1990) を取り上げながら、文字(letter)をめぐる作家の意識や識字率・教育方法の問題を詳らかにしつつ、文学(letters)の可能性を浮かび上がらせます。
加えて、慶應義塾大学文学部の井出新先生による「シェイクスピアの教室−−作品との対話を深めるために」や、法学部の武藤浩史先生による「英文学と翻訳−−文芸翻訳は多世界の発見に通じる」も掲載されています。また、付録 1の執筆者の先生方に対する「アンケート:学生時代に読んで役立った本」も必見です!ご関心のある方は、ぜひご一読ください!
巽先生による序論「今、日本で、アメリカ文学にどう取り組むか?−−学問と批評のインターフェイス」は、「精読」と「クロース・リーディング」の関係を整理した上で、ポーの「盗まれた手紙」(1844), ホーソーンの『緋文字』(1850), メルヴィルの「代書人バートルビー」(1853), ひいてはバースの『レターズ』(1979), 映画『ダンス・ウィズ・ウルヴズ』(1990) を取り上げながら、文字(letter)をめぐる作家の意識や識字率・教育方法の問題を詳らかにしつつ、文学(letters)の可能性を浮かび上がらせます。
加えて、慶應義塾大学文学部の井出新先生による「シェイクスピアの教室−−作品との対話を深めるために」や、法学部の武藤浩史先生による「英文学と翻訳−−文芸翻訳は多世界の発見に通じる」も掲載されています。また、付録 1の執筆者の先生方に対する「アンケート:学生時代に読んで役立った本」も必見です!ご関心のある方は、ぜひご一読ください!
『教室の英文学−−英文学で教える・英文学を教える』
日本英文学会(関東支部) 編
A5判、並製、334頁
研究社
定価 2,808円(本体 2,600円+税)
2017年 5月
*研究社による本書紹介
【目次】
はしがき(原田範行)
序論
- 今、日本で、英文学にどう取り組むか?(佐々木徹)
- 今、日本で、アメリカ文学にどう取り組むか?−−学問と批評のインターフェイス(巽孝之)
第1部 英語を教える
- 英語力の不十分な学生に、文学テキストを使って教えるために(原田範行)
- 文学研究と語学学習−−『ジェイン・エア』のバーサの表象に着目した授業案(斎藤兆史)
- 英文学的英会話教室−−『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の場合(小林久美子)
- 英語と生命力−−英詩が教える(かもしれない)言葉の運動感覚(阿部公彦)
- 創作的英作文の試み(北和丈)
- 戯曲から多様なアクティヴィティへ−−『十二人の怒れる男』を教材として(中村哲子)
- たくさん読ませるための工夫(小川公代)
- ICTで教える(奥聡一郎)
第2部 社会・文化を教える
- 社会を教える:人種・階級−−文学とは、社会とのかかわり方のひとつのかたちである(中井亜佐子)
- 社会を教える:ジェンダー−−わたしたちは複雑な関係性のなかで生きている(越智博美)
- 時代・社会を教える−−イギリス「社会小説」と英文学教育(丹治愛)
- 時代・社会を教える−−アメリカ「南北戦争」と文学(新田啓子)
- 表象文化(映画)を教える−−「アダプテーション」というコンセプト(新井潤美)
- 表象文化(演劇)を教える−−芝居の難しさと面白さ(岩田美喜)
第3部 英文学を教える
- 中世文学への誘い(唐澤一友)
- シェイクスピアの教室−−作品との対話を深めるために(井出新)
- 英詩への誘い−−大胆な
仕掛け :教室のフェリシア・へマンズ(アルヴィ宮本なほ子) - 英詩への誘い−−教室のホイットマン:“There Was a Child Went Forth”(長畑明利)
- 小説への誘い−−小説の誕生(武田将明)
- 小説への誘い−−ジェイン・オースティン『エマ』を読む(高桑晴子)
- 小説への誘い−−「物語」を読むことの愉しみと難しさ(秦邦生)
- 小説への誘い−−18, 19世紀文学を教える(中野学而)
- 小説への誘い−−「入口」としての 20世紀アメリカ小説(諏訪部浩一)
- 小説への誘い−−英語圏文学を教える(中村和恵)
- ファンタジーへの誘い(伊藤盡)
- 児童文学を教える(佐藤和哉)
- 文学批評への誘い(田尻芳樹)
- 英文学と翻訳−−文芸翻訳は多世界の発見に通じる(武藤浩史)
- 英文学と日本文学−−日本人アメリカ文学者のアポロギア(後藤和彦)
付録
- アンケート:学生時代に読んで役立った本
- 英文学研究・教育関連団体一覧
索引
執筆者一覧
【関連リンク】