◆◆◆文学批評家ジョージ・スタイナーは名著『脱領域の知性』( 1971年)でベケットやナボコフなど複数の言語で創作活動をせねばならなかった亡命文学者たちの運命を思索した。同書の原題は “Extraterritorial” で本来「治外法権」を意味する。にもかかわらず、それが特定の言語圏とともに学問領域の越境をも指すために、翻訳者の由良君美が「脱領域」なる新造語を編み出したのだった。それから半世紀、いまスタイナーの洞察は全地球的な預言と化した。言語圏や学問領域のみならず日常空間と電脳空間の境界線も脱構築されている。そんな時代の来たるべき理論体系を考える。(※講演要旨より)◆◆◆
フラフラモヤモヤ会講演
「脱領域」再考
−−九龍城砦とサイバーパンク的想像力
日時:2016年 10月 21日(金)19:00~
場所:L’espace レスパス 日仏会館内
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿3-9-25
※アクセス / フロアガイド
講師:巽 孝之(慶應義塾大学教授・アメリカ文学専攻)
【関連書籍】
『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房、1988年度日米友好基金アメリカ研究図書賞)
『ニュー・アメリカニズム』(青土社、1995年度福沢賞;増補新版 2005年)
『リンカーンの世紀』(青土社、 2002年、増補新版 2013年)
『モダニズムの惑星』
『メタファーはなぜ殺される−−現代批評講義』
『盗まれた廃墟: ポール・ド・マンのアメリカ』
Full Metal Apache
編訳書: ダナ・ハラウェイ他『サイボーグ・フェミニズム』
編訳書: ラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ 増補新版』
共編著: 『事典 現代のアメリカ』
編著: 『反知性の帝国―アメリカ・文学・精神史』