5月25日刊行、岩波書店の隔月刊誌『文学』特集=漱石『文学論』をひらくにて、巽先生が「作家生命論序説—漱石『文学論』の百年計画」を寄稿されています。
「凡そ文学的内容の形式は(F+f)なることを要す。」
という冒頭で有名な夏目漱石の『文学論』は、漱石が英国留学から帰国した1903年以降、東京帝国大学の英文学科で行われた講義に基づき、1907年に刊行されたものです。
今回の「特集=漱石の『文学論』をひらく」では、刊行から100年以上を経た『文学論』が、ポストコロニアリズムや脱構築主義といった欧米の現代文学批評の視点から再発見されるに至り、文学/科学/歴史を問い直す土壌として、まさに再開拓されています。
また、本ホームページの「文学者名鑑」Panic Literati にかつてご登場いただいた高山宏先生の「テオーリアの始まりは終り」と亀井俊介先生の「『文学論』は「未完成」」も収録されています。ぜひご一読を!
『文学』
特集=漱石『文学論』をひらく
岩波書店
隔月刊/第13巻・第3号
2012年5-6月号(5月25日刊行)
***目次
夏目漱石の「世界文学」—英語圏から『文学論』を読み直す
———マイケル・ボーダッシュ
抑圧された〈文学〉—『文学論』における〈文学史〉と〈修辞学〉をめぐって
———上田敦子
『文学論』の方法—F+f の可能性について
———ジョセフ・マーフィ
『文学論』の射程—ディスクールとしての科学
———齋藤希史
「情緒」による文学生成—「彼岸過迄」の彼岸と此岸
———野網摩利子
文学と科学の間で—『文学論』における言語観
———小森陽一
------夏目漱石『文学論』シンポジウム総合討論------
「事件」としての『文学論』再発見—漱石『文学論』解読の思想史
———林少陽
「悲劇」をめぐって
———小倉脩三
テオーリアの始まりは終り
———高山宏
「幻惑」される読者—『文学論』における漱石
———飯田祐子
漱石『文学論』の射程
———佐藤裕子
漱石と「情」の時代
———福嶋亮大
作家生命論序説—漱石『文学論』の百年計画
———巽孝之
中味と形式—漱石の文学論講義
———川本皓嗣
【文学のひろば】『文学論』は「未完成」
———亀井俊介
『田園と憂鬱』と「幻惑」と上田秋成
———高田衛
清水浜臣主催泊洦舎扇合
———田代一葉
『双蝶記』の輪郭
———大高洋司
蕪村句集論—そののちいまだ年くれず
———藤田真一
***バックナンバーや講読のご案内は岩波書店『文学』ホームページをご覧ください。
(亀井先生の「『文学論』は「未完成」」がお読み頂けます。)
***亀井先生・高山先生ご登場の「文学者名鑑」 Panic Literati はこちらをご覧ください。
(なお近々更新予定です!)
夏目漱石『文学論〈上〉』(岩波文庫)
夏目漱石『文学論〈下〉』(岩波文庫)