2012/05/01

「祝・巽先生 日米友好基金賞受容報告」




 巽孝之先生の著書『サイバーパンク・アメリカ』が、日米友好基金賞というSFファンにはなじみの薄い賞を受賞された。この日米友好基金賞は、アメリカ研究の学術書に与えられるもので、アメリカ社会、アメリカ文学、アメリカ史・アメリカ文明の三部門がある。『サイバーパンク・アメリカ』はアメリカ文学部門の受賞である。
 昨年、他にどのような米文学研究があったかよく知らない。しかし、まっとうな米文学ではないSFの、しかもSFの正統派ではないサイバーパンクの研究で受賞されるとは、巽先生の研究に対する評価がどれだけ高かったかうかがえる。この次、SFの研究でこの賞の受賞をする人がでてくるのは、いつになるだろうか。
 受賞式は五月二十四日、六本木の国際文化会館で行われた。巽先生が我がSF研の顧問もして下さっており、SF研を代表して私も行かせていただくことになった。送られてきた招待状は英語で書かれていた。他に巻末資料作成で協力した熊崎俊太郎君と八ツ繁克治君も一緒に行くことになった(八ツ繁君はSF研会員)。会場の半分ぐらいがアメリカ人のようであった。また、なじみのあるところでは、SFマガジンの今岡編集長、奇想天外の曽根編集長、来日中のラリイ・マキャフリイ氏(マキャフリイ氏はその翌日、巽先生の「現代批評」のクラスで講演を行った)、そして小谷真理・巽夫人が和服姿でいらしていた。
 受賞式は、すべて英語で行われた。そのため、英語の分からない私としては、料理を食べるのとアルコールを飲むのにいそしむしかなかった。そうしている間に巽先生のあいさつも終わっていて、花束をわたしそびれてしまい、式の後でわたすことになってしまった。
 何はともあれ、この受賞を機として巽先生がさらなる活躍をされることを祈りたいと思う。

-----『HORIZM』11/23/1989