3月20日(木)に、巽先生共編著『D.H.ロレンスとアメリカ/帝国』が慶應義塾大学出版会より刊行されます!
本書のもとになったのは、2004年6月20日に行われた日本ロレンス協会のシンポジウム。また、2005年10月29日に行われた慶應英文学会第一回大会では、巽先生をはじめとするパネリストによるシンポジウム「今、ここにあるD. H. ロレンス」が開かれ、ロレンスに関わる研究の最先端の紹介と新たな知見が披露されました。
ロレンスはイギリス系モダニスト。一見アメリカ文学と関係がなさそうですが、実はロレンスの著名な批評書『古典アメリカ文学研究』(1923年)はポー、ホーソーン、メルヴィルといった、巽先生の専門とするアメリカン・ルネッサンスの作家たちを中心に、まさに北米におけるアメリカ文学史が構築されようとしているころに刊行され、大きな影響を与えた書物なのです!ゲスト参加したシンポジウムでの発表と同様に、巽先生はアメリカ文学史家としてのロレンスという視点から考察しています。シンポジウムの発表のときの論考が大幅に加筆改稿され、バージョンアップしたのが本書なのです!
巽先生を含む共編者の先生方は、豪華な顔ぶれ。
本書の仕掛け人で、日本ロレンス協会元会長の立石弘道先生。立石先生は、慶応義塾大学院文学研究科英米文学専攻のOBであり、長く非常勤講師もされていました。
ヴィクトリア朝小説を専門とする英文学者の富山太佳夫先生。富山先生は、青山学院大学文学部教授で現在、日本英文学会関東支部長でもあります。
そして、アントナン・アルトーを専門とする仏文学者の宇野邦一先生。宇野先生は、立教大学現代心理学部教授です。
この機会に、ロレンスを再発見してはいかがでしょうか。
詳しくは、こちらから。
富山太佳夫、立石弘道、宇野邦一、巽孝之編著『D.H.ロレンスとアメリカ/帝国』
四六判/上製/320頁
慶應義塾大学出版会より、2008年3月20日刊行
税込価格:2,625円
��目次>
第Ⅰ章 総論 これまでのロレンスとアメリカ/帝国―紀行文を中心として 立石弘道
第Ⅱ章 ロレンスとアメリカ/帝国
帝国の(再)編制とロレンス 大田信良
ジャズ・エイジの帝国―ロレンスの『古典アメリカ文学研究』を中心に 巽 孝之
アポカリプスとアメリカ 宇野邦一
第Ⅲ章 ポスト・コロニアルの『セント・モア』論
『セント・モア』の帝国と英米関係 木下 誠
『セント・モア』の植民地幻想 霜鳥慶邦
消え行く媒体としての「アジアの中心」―『セント・モア』とネイティヴィスト・モダニズム 新井英永
第Ⅳ章 帝国を表象する手法 裏返しの技法―小説の伝説も、帝国も 富山太佳夫