また、本書には、巽先生による解説「長い70年代——時代研究と地域研究の交わるところ」が収録されています。本稿では、アンディー・ウォーホルとスティーブ・ジョブズとの邂逅の逸話を皮切りに、60年代と80年代に挟まれた70年代へ読者をいざない、本書の読みどころを教えくださいます。特に、題名のとおり、本書が1970年代に焦点を置く時代研究でありながら、1970年代にその影響力を増していった南部(特にサンベルト)の重要性を極めて説得的に論じる地域研究でもある点を強調されます。また、著者シェルマンと直接談話されたエピソードや氏の主要業績なども概観されています。
現代アメリカ文化・社会・政治に関心のある方は、ぜひご一読ください!
『アメリカ70年代——激動する文化・社会・政治』
ブルース・J・シュルマン 著
巽孝之 監訳、北村礼子 訳
四六変型判、544頁
国書刊行会
2024/04/18刊行
定価: 3,960円 (本体価格3,600円)
ISBN: 978-4-336-07583-3
※国書刊行会による本書紹介はこちら
【目次】
序文
序章 六〇年代と戦後の遺産
PART I 「いよいよ瀬戸際だ」 1969-1976
第一章 「荒療治への着手」――ニクソン大統領とアメリカの公共生活
第二章 多様から成る多様性国家――人種統合から「多様性」までの道のり
第三章 「プラグを差し込め」――七〇年代の探求と発見
第四章 サンベルトの台頭とアメリカの「レッド化」
PART II 「孤独なランナー」 1976-1979
第五章 ジミー・カーターと信頼の危機
第六章 「ばか騒ぎしている場合じゃない」――七〇年代のポピュラーカルチャーにおける反乱と権威
第七章 「男と女の戦い」――女性、男性、家族
PART III 「真面目が一番」 1978-1984
第八章 「民兵は浮かばれない」――新右翼と納税者の反乱
第九章 レーガンの集大成
結論 七〇年代の終わり、世紀の終わり
謝辞
長い70年代――時代研究と地域研究の交わるところ(巽 孝之)
注
索引
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