今月の研究発表は、ゼミ OBの馬場聡先生(日本女子大学)による「ダム建設公共事業とコロンビア川表象史——ニューディールから冷戦まで」です。コロンビア川流域の河川開発表象の変遷を辿ることを通じ、ナショナリズムに回収される地域状況とそれに対する抵抗言説をご検討されます。前半は、合衆国政府のダム建設プロモーション映画 Hydro: Power to Make the American Dream Come True (1939) 、リメイク版 The Columbia: America’s Greatest Power Stream (1949) および後者に挿入されるウディ・ガスリーの楽曲に注視し、政府公共事業と急進的フォークシンガーの邂逅をご考察されます。後半は、コロンビア川水系の開発を描いた様々な文学作品、とりわけ、Ken Keseyの One Flew Over the Cuckoo’s Nest (1962) を太平洋岸北西部の冷戦期公共事業という文脈から再読されます(※日本アメリカ文学会東京支部 HPも併せてご確認ください)。ご関心のある方は、ぜひご来聴ください!
研究発表
ダム建設公共事業とコロンビア川表象史——ニューディールから冷戦まで
講師:馬場聡(日本女子大学)
司会:山口和彦(上智大学)
分科会
近代散文
肖像から読む Pierre——ダゲレオタイプ時代の視覚と時間性
大西慧(早稲田大学・院)
現代散文
Sex and the City に見られる女性の生き方についての一考察
大塩真夕美(目白大学)
詩
狂気と絶望—— Robert Frostの詩を生み出すもの
狭間敏行(創価大学・非)
演劇・表象
楡の木陰の埋められた所有欲——サム・シェパードとユージン・オニールの家族劇に見る継承の問題
高橋典子(白百合女子大学・院)