『国のない男』は、2007年に亡くなったカート・ヴォネガットの 2005年刊行の遺作。巽先生による解説「ヴォネガット的瞬間」では、ヴォネガットが自身を「国のない男」と呼んだ背景が探られています。また、文藝別冊『サンタナ−−ラテン・ロックの守護神』に寄稿された先生の「サンタナ、またはこの世のものとは思われぬ響き」では、1970年における先生自身のサンタナ経験を振り返りつつ、カルロス・サンタナのメキシコ生まれという出自を軸に、「今なぜサンタナか?」が問われています。同様に、大学院 OB長澤唯史先生による「「普遍の調べ」を追い続けて−−カルロス・サンタナのアイデンティティと音楽」もサンタナの回想録『普遍の調べ』(2014年)を起点としながら、そのアイデンティティの諸相からサンタナ音楽に迫ります。ご関心のある方は、併せてぜひご一読ください!
『国のない男』
A MAN WITHOUT A COUNTRY
カート・ヴォネガット、金原瑞人訳
文庫、208ページ
中央公論新社、2017年 3月、720円(税別)
*中央公論新社による本書紹介
【目次】
- わたしは末っ子だった
- 「トゥワープ」という言葉をご存じだろうか
- 小説を書くときの注意
- ここで、ちょっとしたお知らせを
- さあ、そろそろ楽しい話をしよう
- わたしは「ラッダイト」と呼ばれてきた
- 二〇〇四年十一月十一日で、八十二歳になった
- 人間主義者とはどういう人を指すかご存じだろうか?
- 何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもその通りにせよ
- イプシランティの懐古的な女性
- さて、いい知らせがいつくつかと、悪い知らせがいくつか
- わたしはかつて、自動車販売会社の社長だった
- レクイエム
- 作者から
- 訳者あとがき
- 文庫版訳者あとがき
- 解説 ヴォネガット的瞬間(巽孝之)
- カート・ヴォネガット作品一覧
文藝別冊 KAWADE 夢ムック
『サンタナ−−ラテン・ロックの守護神』
河出書房新社編集部
ムックA5、 208ページ
2017年 3月、定価1,404円(本体1,300円)
*河出書房新社による本誌紹介
【目次】
- 交差するラテン的宇宙(横尾忠則インタビュー)
- さまざまな魅力がありすぎる音楽の栄光と不幸(立川芳雄)
- なぜ私がサンタナに似ているといわれるのか(小野瀬雅生)
- ブラックなマジック・ウーマンを見たか(湯浅学)
- サンタナ/ヒストリー(舩曳将仁)
- アルバムでたどるサンタナの軌跡−−変貌しつつも変わらない偉大なアーティスト(大鷹俊一×後藤幸治)
- サンフランシスコ・ミッション〜イースト・ロサンゼルス−−バリオの現在、サンタナの「周縁」から(宮田信)
- サンタナ、またはこの世のものとは思われぬ響き(巽孝之)
- 魂のサンタナ(今野雄二)
- 70年代前半のサンタナはロック界に突如出現した“スクランブル交差点”だった(和久井光司)
- 「普遍の調べ」を追い続けて−−カルロス・サンタナのアイデンティティと音楽(長澤唯史)
- サンタナだから作り得たこと−−ワールド・ミュージックの祝祭(大鷹俊一)
世界音楽 志向、としてのサンタナ(小沼純一)- 混じり合わない融合と洗練の衝撃(松井巧)
- ゆっくりと微笑みながら歩み続ける<カルロスの花道>(鈴木祐)
- サンタナギター考察−−精神と肉体の調和を求めて(杉山達)
- 2017年 1月 最新ライブ・レポート:ラスベガス、サンタナ体験記(元井欣一)
- ディスクガイド(杉山達、鈴木祐、松井巧)
【関連リンク】
- 中央公論新社による『国のない男』紹介
- 河出書房新社による『サンタナ−−ラテン・ロックの守護神』紹介
- 巽先生のご著書『プログレッシヴ・ロックの哲学 増補決定版』が、河出書房新社より刊行(CPA: 2016/05/04)
- 巽先生監修・伊藤優子さん(YOUCHAN)編著『カート・ヴォネガット(現代作家ガイド)』が彩流社より刊行(CPA: 2012/09/23)
【関連書籍】
カート・ヴォネガット、金原瑞人訳『国のない男』(中央公論新社、2017年)
文藝別冊 KAWADE 夢ムック『サンタナ−−ラテン・ロックの守護神』(河出書房新社、2017年)
巽孝之『プログレッシヴ・ロックの哲学 増補決定版』(河出書房新社、2016年)
巽孝之監修、伊藤優子(YOUCHAN)編著『カート・ヴォネガット (現代作家ガイド)』(彩流社、2012年)