2014/04/05

慶應義塾大学アメリカ文学専攻で長年愛用されてきた『卒論ガイド』第三版が、 KMLA (Keio Manual for Literary Americanists) とその名を改め、完成いたしました!

このたび、慶應義塾大学アメリカ文学専攻で長年愛用されてきた『卒論ガイド』第三版が、 KMLA (Keio Manual for Literary Americanists) とその名を改め、ついに完成いたしました!


MLA ならぬ KMLA は、アメリカ文学をテーマに論文を書く研究者すべてに役立つよう編集された慶應マニュアル。米国近現代語学文学協会 (Modern Language Association) の定めた MLA スタイルに準拠しつつ、実際に本塾アメリカ文学専攻へ提出された卒業論文を使い、詳細な解説を加えています。MLA に基づく論文体裁・書式だけでなく、英作文(アカデミックな語法・文章構成)、リサーチ方法、 MLA にはない日本語文献の示し方まで、幅広くカバー。アメリカ文学研究者にとって有用な情報と方法論が満載です。卒論、修論、博論はもちろん、学会誌投稿論文の執筆にも活用いただけます!

残部に余裕がある限り、ネット上でもお頒けしております(一部 500円、送料込)。ご関心のある方はこちらまでお問い合わせください。

なお、KMLA を実際に使用し、本年 2013年度に卒業論文を提出された、巽孝之・大串尚代両研究会に所属する学部四年生の方々から、KMLA のレビューが寄せられました。こちらも合わせてどうぞ!

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卒論執筆の必携書
福村舞(巽研究会四年)

実際の論文の中に、引用の方法や注意が必要な表現等、執筆にあたって学生が気を付けるべき事項が直接書き込んである形式なので、非常に使い勝手が良かったです。お陰で、ビブリオの様な複雑な決まりがあるものについてもスムーズに書き進める事ができ、大変役立ちました。

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自分の本を書くために
轉法輪右(巽研究会四年)

「卒論とは君達が人生で最初で最後に書く自分の本かもしれない。」と巽先生が仰った通り、卒業論文とは自分の今までの人生が凝縮されたものであるのかもしれない。

アメリカ文学専攻で自分の興味のある作家作品を選び、2年間をかけて研究を進める。研究対象の選択はそれこそ今まで自分が培ってきた知識や価値観、興味の結果であり、その対象を英米の素晴らしい先生方の下で研究するというのは自分自身について掘り下げて考えることに他ならない。

その卒論執筆にあたって KMLA(Keio Manual for Literary Americanists)、実に秀逸で洒落の利いた名称であるこのマニュアルは非常に有効な手助けとなってくれる。巽研究会では毎年大串先生の卒論をテクストに用いて作成された『卒論ガイド』を卒論執筆の助けとするが、今回発刊された KMLA が優れている点は実際に論文を英語で執筆したことのある諸先輩方の生の声が如実に反映されている点である。表紙や Bibliography の書き方といった定型が存在するものは以前の『卒論ガイド』でも詳しいが、KMLA では各章の構成の作り方、論文における有用な慣用表現の提示など、我々英語を母語としないアメリカ文学研究者("Literary Americanists")が最も必要としているエッセンスが凝縮されている。

冒頭で述べたように卒論は人生で自分が最後に書くことになる本かもしれない。その本を満足のいく仕上がりとするためにも、これからアメリカ文学専攻で卒論を書く諸氏には MLA Handbook には無い、日本人アメリカ文学研究者視点の指摘が豊富なKMLAを是非とも熟読して卒論執筆に役立ててほしい。

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英語で卒論を書くあなたへ
宇野藤子(巽研究会四年)

卒業論文を完成させるまでの苦しい日々、KMLA を開かない日はなかった。厚さわずか3ミリの本書には参考文献の表記から図版の挿入まで、書式に関する全てが網羅されている。論文独特の複雑怪奇な書式法にへとへとになった私が、それらを乗り越えられたのは KMLA のおかげである。そして何よりも、英米文学専攻 OG の方の実際の卒業論文が例として掲載されているので、論文で使える英単語や言い回しを参照することができるのが嬉しかった。少しでも論文らしい英文を書きたいという人におすすめだ。論文の形式と中身、双方を充実させてくれる頼もしい相棒、それが KMLA である。また文献の探し方や洋書の購入方法についてのコラムもあるので、卒論の準備段階に入る3年生にとってもためになるはずだ。

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高度に実践的なガイドブック
内田大貴(大串研究会四年)

以前は MLA Handbook 第7版の原本を開いても目当ての項目がなかなか見つけられず時間だけが無駄になってしまうということも少なからずありましたが、KMLA の優れている点は実際の論文への注釈という形をとっていて非常に実践的であるということです。例えば、イントロダクションの書き方が分からなければ KMLA のイントロダクションの部分を、ビブリオグラフィの書き方が分からなければ KMLA 内の同じ箇所を参照するだけでよいので、スムーズに執筆が進められます。また、日本語の文章ではあまり馴染みのないコロンやセミコロンの使い方などのちょっとしたことから、原本には記述の少ない議論の組み立て方や話題の順序といった内容に関しても、なぜそのように書かれているのかという理由とともに説明が付してあります。論文の形式は分かったけど、いざ書き始めてみるとどうも上手くいかないという時にも役に立ちました。

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初心者には大変ありがたい一冊
池邉遥香(大串研究会四年)

論文執筆に当たって決められた細かなルール、「MLA 方式」の存在を初めて知った時、一瞬青ざめない日本人の米文学専攻初心者はいないと思う。しかし、この不安はこのコンパクトなガイドが一冊で解決してくれた。実際の論文の中で MLA 方式の細かな決まりごとをその都度指摘していく形故に、一目で見て分かり易く、無駄がない。特にルールが多い参考文献の書き方については行を割いて詳しく説明があり、書籍だけでなく映画、絵画、音楽、新聞、ネットなど、どの媒体を使っていたとしても答えに困らなかった。初心者にとって更にありがたいのが、MLA 方式の説明以外にも、変化しがちな文献の探し方の最新情報が詳細に載っていることだ。日本国内で洋書、米文学の研究書の取り揃えが豊富な書店や、最新の研究に使えるデータベースや e-book サイトの紹介があり、リサーチの段階から大変役に立った。これを研究始めに一通り読んでいなかったら、論文の出来がリサーチの段階から全く違っていたと思う。英米文学研究を志す初心者全員にオススメしたい一冊。