開文社出版より刊行された『越境する女―19世紀アメリカ女性作家たちの挑戦』に、大串尚代先生によりますご論文「もうひとりの女性異端者─エライザ・バックミンスター・リーの『ナオミ』における異端とリベラル・イマジネーション」が寄稿されています!
本書では、十九世紀初頭のアメリカにおいて様々な抑圧のもとにいた九人の女性作家たち(マーガレット・フラ―、ハリエット・ジェイコブズ、ルイザ・M・オルコット、リディア・マライア・チャイルドなど)が取り上げられ、その活動領域としてのヨーロッパ(本書第一部)、中米・アフリカ・東洋(第二部)へ目を向けることを通じ、その精神的・物理的な越境性が論じられております。大串先生によりますご論文「もうひとりの女性異端者」では、エライザ・バックミンスター・リーの作品『ナオミ』が取り上げられ、植民地時代のアンチノミアン論争と十九世紀のユニテリアン論争が参照されながら、本作を女性によって形成された信仰の文学史へと位置付けされております。巻末には、特別寄稿としてメーガン・マーシャル氏による最新のフラー伝記 Margaret Fuller: A New American Life
の最終章が「猛烈な嵐のあとで─マーガレット・フラー没後伝」として掲載。ご関心のある方、必読です!
題:『越境する女―19世紀アメリカ女性作家たちの挑戦』
編:倉橋洋子、辻祥子、城戸光世
判型:A5
頁数:236
出版:開文社出版
刊行:2014年3月
価格:2,808円(税込)
*開文社出版による本書詳細
【目次】
まえがき
第一部 ヨーロッパ
マーガレット・フラーとローマ共和国の夢
高尾直知
もうひとりの女性異端者─エライザ・バックミンスター・リーの『ナオミ』
における異端とリベラル・イマジネーション
大串尚代
沈黙のスペクタクルとトランスする人種、階級、ジェンダー─白い奴隷エレ
ン・クラフト
中村善雄
女奴隷とトランスアトランティック・アボリショニズム─ハリエット・ジェ
イコブズの『自伝』と手紙に見る戦略
辻祥子
無名戦士に愛と敬意を─ルイザ・M・オルコットの『病院のスケッチ』にお
ける原ヨーロッパ体験としての看護実践
本岡亜沙子
第二部 中米・アフリカ・東洋
楽園の光と影─ソファイア・ピーボディの「キューバ日誌」を読む
城戸光世
キューバにおける捕囚と抵抗─メアリー・ピーボディ・マンの『フアニータ』
倉橋洋子
『アンクル・トムの小屋』とアメリカ・ヨーロッパ・ハイチ・リベリア
大野美砂
螺旋状の信仰─リディア・マライア・チャイルドの仏教との邂逅
内堀奈保子
特別寄稿
猛烈な嵐のあとで─マーガレット・フラー没後伝
メーガン・マーシャル/生田和也訳
あとがき
索引
執筆者紹介
【関連書籍】
大串先生寄稿/倉橋洋子、辻祥子、城戸光世編『越境する女―19世紀アメリカ女性作家たちの挑戦』(開文社出版、2014年)
メーガン・マーシャル著/大杉博昭、城戸光世、倉橋洋子、辻祥子訳『ピーボディ姉妹―アメリカ・ロマン主義に火をつけた三人の女性たち』(南雲堂、2014年)
Megan Marshall, Margaret Fuller: A New American Life (Houghton Mifflin Harcourt, 2013)