2012/10/03

巽先生が解説を寄稿された、篠田節子著『家鳴り』が集英社文庫から絶賛発売中です!

現代日本に生きる者なら誰もが出くわすような問題をあえて扱いながら、篠田節子はそれを常人では思いもつかないような方向へと捻りに捻って、彼女にしか不可能な独創的境地を切り拓き、多くの読者を惹きつける――巽孝之(本書解説より)


巽先生が解説を寄稿された、作家・篠田節子さんによる短篇集『家鳴り(やなり)』 (1999年)が、2002年の新潮文庫版から10年を経て今回、集英社文庫から刊行されました。


篠田節子著
『家鳴り』  
集英社/文庫本/328頁
2012年9月
630円(本体600円+税)

【目次】
幻の穀物危機
やどかり
操作手(マニピュレーター)
春の便り
家鳴り
水球
青らむ空のうつろのなかに
解説 (巽孝之)

***篠田節子さんは、1990年『絹の変容』で第3回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。その後も、『ゴサインタン―神の座』で第10回山本周五郎賞(1996年)、『女たちのジハード』で第117回直木三十五賞(1997年)、近年でも、『仮想儀礼』柴田錬三郎賞(2009年)、『スターバト・マーテル』芸術選奨文部科学大臣賞(2011年)など、数々の賞を受賞されています。

今回、集英社文庫から刊行された『家鳴り』は、かつて1999年に新潮社より刊行された傑作短篇集。ここには、7つの短篇が収められています。
その中でもとりわけ、冒頭の「幻の穀物危機」においては、東京西部の大地震を契機に家族にまで疑心暗鬼になる人々が描かれ、1996年に書かれたものとは思えないほど、現代の私たちにより密着したかたちで迫ってきます。また、最後の短篇「青らむ空のうつろのなかに」においては、400万円で農場施設に預けられた少年が、優しくしようとする周囲の期待とは裏腹に、「人間」よりも「豚」に心を寄せていくさまが描かれます。
愛/金/食をめぐる傑作短篇。ぜひご一読 ください!


【関連書籍】
『家鳴り』(集英社、2012年:初版1999年)

『絹の変容』(集英社文庫)(集英社、1993年:初版1991年)

『ゴサインタン―神の座』(文春文庫)(文藝春秋、2002年:初版1996年)

『女たちのジハード』(集英社文庫)(集英社、2000年:初版1997年)

『仮想儀礼〈上〉』(新潮文庫)(新潮社、2011年:初版2008年)

『仮想儀礼〈下〉』 (新潮文庫)(新潮社、2011年:初版2008年)

『スターバト・マーテル』(光文社、2011年)