巽先生が解説を寄稿された、作家・篠田節子さんによる短篇集『家鳴り(やなり)』 (1999年)

篠田節子著
『家鳴り』
集英社/文庫本/328頁
2012年9月
630円(本体600円+税)
【目次】
幻の穀物危機
やどかり
操作手(マニピュレーター)
春の便り
家鳴り
水球
青らむ空のうつろのなかに
解説 (巽孝之)
***篠田節子さんは、1990年『絹の変容』
今回、集英社文庫から刊行された『家鳴り』
その中でもとりわけ、冒頭の「幻の穀物危機」においては、東京西部の大地震を契機に家族にまで疑心暗鬼になる人々が描かれ、1996年に書かれたものとは思えないほど、現代の私たちにより密着したかたちで迫ってきます。また、最後の短篇「青らむ空のうつろのなかに」においては、400万円で農場施設に預けられた少年が、優しくしようとする周囲の期待とは裏腹に、「人間」よりも「豚」に心を寄せていくさまが描かれます。
愛/金/食をめぐる傑作短篇。ぜひご一読 ください!
【関連書籍】
『家鳴り』
『絹の変容』(集英社文庫)
『ゴサインタン―神の座』(文春文庫)
『女たちのジハード』(集英社文庫)
『仮想儀礼〈上〉』(新潮文庫)
『仮想儀礼〈下〉』 (新潮文庫)
『スターバト・マーテル』