2022/05/08

高山宏先生による『鎮魂譜——アリス狩りⅦ』が青土社より刊行され、巽先生による書評および高山先生との対談が収録されています!

高山宏先生による『鎮魂譜——アリス狩りⅦ』が青土社より絶賛刊行中です!本書は、序「ポイエーシスの星座——たかや魔ひろし頌」(高柳誠)と跋「高山宏と繋ぐことの実存的跳躍」(吉田朋正)のほか、四部構成。通奏低音として「追善」が響きわたります。第一部「知識がアートになってどこが悪い」は、高山先生の「知」のありようが、ご自身の論考、或いはそのお宅(書庫)訪問記や複数の書き手による証言によってありありと提示されます。

第二部「「同窓」人、それぞれの節目」においては、巽先生、八木敏雄先生、夢枕獏氏、荒巻義雄氏、沼野充義先生をはじめとした「同窓人」をめぐる文章および同窓人による文章が収録されています。ここには、巽先生の『メタフィクションの思想』、『ニューアメリカニズム』、『リンカーンの世紀』をめぐる高山先生の論考、および巽先生の退職記念論文集『脱領域・脱構築・脱半球——二一世紀人文学のために』に収録されたジョージ・スタイナーをめぐる高山先生の論考が再収録されるほか、巽先生による『ガラスのような幸福』書評、巽先生と高山先生による対談「甦るメルヴィル、読み直すアメリカ」も収められています。

第三部「視覚文化追善のとき」には、高山先生が長らく精力的に取り組んでこられた視覚文化研究、とりわけ鳥獣戯画や絵本、或いは装本デザインをめぐる論考が収録されています。第四部「「ファクチャル」がパンデミック」は、2021年にその翻訳を刊行された『ガリヴァー旅行記』を中心に、その翻訳がもつ文体の驚異的な特異性はもちろん、なにが「ファクト」でなにが「リアル」なのかをめぐる問いの重要性もあらためて強調されます。ご関心のある方は、ぜひご一読ください!



『鎮魂譜——アリス狩り Ⅶ』
高山宏
青土社、2022年 4月 12日
3,960円(本体3,600円)
ISBN: 978-4-7917-7460-9

【目次】
ポイエーシスの星座――たかや魔ひろし頌  高柳誠

第 Ⅰ部 知識がアートになってどこが悪い
1.知識がアートになってどこが悪い
2.強烈な嫉妬からの学び 
3.高山學魔ののはじめ方――本宅訪問記 加藤魔女亭 
4.古書ほうろうに蔵書放出 宮地健太郎 
5.學魔書庫訪問記――地獄篇 後藤 護
6.現実こそ幻想――ポストトゥルース時代のマニエリスム 
7.「律儀な無頼」かく語りき――マニエリスムという人生作法 
8.ライプニッツのユニコーン 森 毅×高山 宏 
9.「良き隣人関係」をめぐって 山口昌男×高山 宏 
10.松岡正剛の千冊《1235夜》――バーバラ・スタフォード『ヴィジュアル・アナロジー』 松岡正剛 
11.逆世界のパラダイムヘようこそ――『アリス狩り』書評第一号 森常治 
12.ヘルメス、ザ・カード・メイカー 

第 Ⅱ部 「同窓」人、それぞれの節目
1.タツミの方角に宝あり――巽孝之『メタフィクションの思想』解説 
2.スタイナーもまた巽の方角 
3.温故知新革命――巽 孝之『ニュー・アメリカニズム』へ 
4.巽孝之『リンカーンの世紀』へ――アメリカ大統領たちの文学思想史 
5.『ガラスのような幸福』(高山宏著) 巽 孝之 
6.甦るメルヴィル、読み直すアメリカ 巽 孝之×高山 宏 
7.もう「挑発」のし甲斐もない――八木敏雄先生追善 
8.アメリカン・マニエリスムとは何か 八木敏雄 
9.獏の夢――夢枕獏『白鯨』を読む 
10.私 信――荒巻義雄 
11.意外にして偉大な学恩――沼野充義讃
12.ブルーム、スタイナー氏逝去とヌマノ氏退官――沼野充義『徹夜の塊3 世界文学論』へ 
13.卓越した問題集に解答はない 鹿島 茂 
14.3冊の本――『世紀末異貌』、『テクスト世紀末』、『終末のオルガノン』 鹿島茂 
15.イナセな逝き方――柳瀬尚紀先生追悼 
16.遠街にひとあらはれて――須永朝彦大人送別 
17.先輩・後輩 加賀野井秀一×高山 宏 
18.奇譚を口実にポップ・マニエリスム――中野美代子『契丹伝記集』をめぐって 

第 Ⅲ部 視覚文化追善のとき
1.保元平治アデュナタの熱狂――「鳥獣戯画」考
2.こうしてくるんとひとまわり――絵本・表象論覚え
3.絵本の魔術師P・ニューエルとL・キャロル『鏡の国のアリス』
4.Anno Mirabilis――安野光雅画伯追善
5.バーバラとツトム、とヒロシ――戸田ツトム氏追善

第 Ⅳ部 「ファクチュアル」がパンデミック
1.神訳版『ガリヴァー旅行記』(研究社版)訳者解題
2.タカヤマ神がかり――令和交雑文体の修辞学 津田正
3.「ファクト」と「フィクション」が交わるところ 原田範行×高山宏
4.『ガリヴァー旅行記』の「学魔」訳を読んで眼前一変! 小林章夫
5.時代の寵児という他なし――立花隆氏追悼
6.コッティングリー妖精事件と今
7.木がモダニズムを擬態する――クロード・シモン『アカシア』について
8.もし彼が英文へ行き、僕が仏文に行ってたら――渡邊守章先生追善

跋 高山宏とつなぐことの実存的跳躍  吉田朋正

書 真行寺君枝
書 松岡玄月正剛


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