2021/12/23

小谷先生による『性差事変——平成のポップ・カルチャーとフェミニズム』(青土社)絶賛発売中です!

すでにパニカメ最新第 26号において、そのマニアックな裏事情が語られていましたが、小谷先生による『性差事変——平成のポップ・カルチャーとフェミニズム』、青土社より絶賛刊行中です!本書は五部構成、1990年代から 2021年までにわたって執筆された計 26本の論考が収録されています。各パートは、少女、クィア批評、テクノロジー(による世界変容)、アイドル、ディストピアの五つの視座を切り口にまとめられています。ルイス・キャロルを筆頭に、宮崎駿、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、アーシュラ・K・ル=グウィン、コニー・ウィリス、マイケル・クライトン、はたまた、宝塚にマッドサイエンティスト、電脳豚、初音ミク、ほかにもマイケル・ジャクソン、マドンナ、プリンスに、テクスチュアル・ハラスメントをめぐる論考等々を辿りながら(他多数、下記目次もご参照ください!)、昭和と令和のあいだに横たわる平成のポップカルチャーとフェミニズムの「地殻変動」を浮き彫りにされます。生きづらさや違和感に浸食された世界をクリアに生き抜くヒントが軽やかに散りばめられています。パニカメ最新号と併せて、ぜひご一読ください!


『性差事変——平成のポップ・カルチャーとフェミニズム』
Feminist Defense Initiative: Gender Panic and Popular Culture in the Heisei Era
小谷真理
468ページ
青土社、2021年 11月 19日
定価:2,860円(本体 2,600円)
ISBN: 978-4-7917-7421-0

【目次】
プロローグ

1.「少女」の行方
  • キャロル狩り——鏡を通ってアリスがそこに見たものは
  • 魔法使いは誰だ!?——宮崎駿とダイアナ・ウィン・ジョーンズ
  • 架空少女の離魂——あるいは、「ふしぎの国」による矢川澄子とヴァリエーション
  • 少女を放つ——荻原規子『RDG』を読む
  • 超少女の変容——『少女革命ウテナ』についてのノート
  • 狭間の視線——ティプトリー&ブラッドリー母娘に見る passingの政治学

2.クィア・リーディングとポリセクシュアル
  • 腐女子同士の絆——C文学とやおい的な欲望、竹宮恵子『風と木の詩』を中心に
  • 詩人の魂を秘めた幻視者——アーシュラ・K・ル=グウィン小伝 付年表
  • 名誉男性の魔法——アーシュラ・K・ル=グウィンと「ゲド戦記」
  • すみれのジェンダー——宝塚エッセイ
  • すみれのセクシュアリティ——宝塚エッセイ2
  • 無垢という戦術——大島渚『御法度』を観る

3.テクノロジーと世界の変貌
  • 彼女のロボット——AIは性差の問題にどう切り込んだのか?
  • 出産と発明——マッドサイエンティストのジェンダー論
  • わが時の娘たちよ——コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック』を読む
  • 異界と守り人——上橋菜穂子『精霊の守り人』の異世界
  • 家畜文明論——ユージン・バーン「電脳豚のシリル」を読む
  • 大量破壊兵器に潜むジェンダー戦略——マイケル・クライトン『アンドロメダ病原体』を読む

4.メタ・アイドルの時代
  • シャンブロウ、ヘア解禁——SFと女性性
  • ハルとミク——初音ミクあるいは、音楽するAIたち
  • ダンスする仮装——ゼロ年代のマドンナ
  • 女になったマイケル、男になったマドンナ——森村泰昌のメタアイドル芸術
  • マルチプレックス・ポエトリ——プリンス 1958-2016

5.ディストピアの現在形
  • もうひとつの、No Man’s Land——貴志祐介『新世界より』を読む
  • 脳内彼女の実況中継——笠野頼子の反テクスチュアル・ハラスメント闘争
  • ディストピアの向こうへ——<未来記>の現在形

エピローグにかえて——もしも世界に男がいなかったら

あとがき
初出一覧

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