本号は特集「遠藤周作日記 死―キリスト―文学」を収録。これまで一部しか公開されていなかった遠藤周作の日記が本誌において全文翻刻され、解説および随筆が並びます。戯曲セクションでは、前回に引きつづき、坂手洋二氏（劇団燐光群主宰）による「サイパンの約束」第二回が掲載されるほか、本号においても新連載が三つ始まります。岳真也氏（作家）による「父と子――家康と信康」、宮沢和史氏（シンガーソングライター）による「琉球弧歌巡礼 白雲節」、クリストフ・ペータース氏（作家・画家・陶芸家）による「東京日記 到着―風景」（粂川麻里生訳）です。
書評セクションでは、新島進先生がワジディ・ムアワッド『アニマ』（大島ゆい訳）を、小川公代先生（上智大学）がルイザ・メイ・オルコット『仮面の陰に―あるいは女の力』（大串尚代訳）を、河内恵子先生が池澤夏樹『されく魂 わが石牟礼道子抄』と石牟礼道子・池澤夏樹『みっちんの声』を、巽先生がアンナ・ツィマ『シブヤで目覚めて』（阿部賢一・須藤輝彦訳）を論じています。また、佐藤元状先生の映画評「電影的温故知新」、大和田俊之先生の音楽評「ラップの詩学」も掲載されています。
この機会にぜひお手にとってみてください！
【目次】
■巻頭詩
字幕のように 小池昌代
■小説
かさぶた 佐藤洋二郎
■詩
木野 手塚敦史
■戯曲
サイパンの約束（二） 坂手洋二
■対談
音としての「精神」――幻想曲の系譜 斎藤慶典×仲道郁代
■随筆
フラグフレーズ！――新たな文学アプローチ 竹内真
■特集 遠藤周作日記 死―キリスト―文学
日記―Réflexion （一九六一年九月〜一九七四年一〇月） 遠藤周作
■解説
『死海のほとり』創作日記から見えるもの 今井真理
■随筆
ユダの荒野あれのに立ちつくした晩――遠藤周作に連れられて 加藤宗哉
遠藤先生と過ごした夏休み――「日記」をデータ化して 黑川英市
■連載
新連載 父と子――家康と信康 岳真也
新連載 琉球弧歌巡礼 白雲節 宮沢和史
新連載 東京日記 到着―風景 クリストフ・ペータース[訳] 粂川麻里生
インティマシーの倫理 [第二回]インティマシーとシンパシー 山内志朗
■浅草の笑い[第二回]
浅草芸人盛衰記 〝ロック〟の主役は誰だ?! 岡進平
大上こうじの浅草21世紀と浅草 大上こうじ
■文芸時評[第二回]
文学の境界線ボーダーライン 幽閉からユートピアに至る回路 仲俣暁生
予言と言霊 出口王仁三郎と田中智学の言語革命[第六回] 鎌田東二
■短歌／随筆
最終回 千年を隔てた恋の歌のやりとり[第二十回] 水原紫苑
■映画評
電影的温故知新 [第十三回] 佐藤元状
■音楽評
ラップの詩学[第十二回] 大和田俊之
■書評
ワジディ・ムアワッド『アニマ』（大島ゆい 訳）新島進
ルイザ・メイ・オルコット『仮面の陰に―あるいは女の力』（大串尚代 訳）小川公代
池澤夏樹『されく魂 わが石牟礼道子抄』／石牟礼道子・池澤夏樹『みっちんの声』河内恵子
アンナ・ツィマ『シブヤで目覚めて』（阿部賢一・須藤輝彦 訳）巽孝之
ろばの耳 菊池暘子／関根徳男
新 同人雑誌評 佐々木義登／加藤有佳織
坂上弘氏、新倉俊一氏のご逝去にあたりまして
【関連書籍】
『三田文學』146号（特集：原民喜没後七〇年 「夏の花」はいま；2021年夏季号）
『三田文學』145号（特集：特集 秘められた力を探って――大陸・台湾・香港；2021年春季号）
『三田文學』144号（第三十七回織田作之助青春賞／特集：創作教室；2021年冬季号）
『三田文學』143号（座談会「世界文学の現在」／特集：岡田隆彦；2020年秋季号）
『三田文學』140号（特集：江藤淳・加藤典洋――日本近代の行方；2020年冬季号）
『三田文學』139号（特集：結び合う島の輝き――沖縄・台湾・韓国；2019年秋季号）
『三田文學』137号（特集：世界SFの透視図；2019年春季号）
『三田文學』135号（特集：永井荷風と慶應義塾；2018年秋季号）
『三田文學』134号（特集：越境するドイツ；2018年夏季号）
『三田文學』133号 （特集：イギリス小説の現在；2018年春季号）
『三田文學』132号（特集：破局から…；2018年冬季号）
『三田文學』131号（特集：主張するアジア；2017年秋季号）
『三田文學』 130号（特集：アメリカの光と影；2017年夏季号）
