9歳のジャック・ロンドンと愛犬ロロ |
2012年度第3回研究会:自然主義文学と動物表象
日時:1月28日(月)16:30-18:30
会場:成蹊大学10号館 2階 第2中会議室
主催:科学研究費・基盤研究(B)「モンロー・ドクトリンの行為遂行的効果と21世紀グローバルコミュニティの未来」
研究代表者:下河辺美知子(成蹊大学)
研究分担者:巽孝之(慶應義塾大学)、舌津智之(立教大学)、日比野啓(成蹊大学)
基調発表
「食える犬、食えない犬――フランク・ノリス、ジャック・ロンドンと動物」折島正司(青山学院大学)
ワークショップ
「Jack London, “The Bâtard” と “That Spot” を読む」
石山愛梨(青山学院大学博士課程)
濟藤葵(慶應義塾大学博士課程)
高瀬祐子(静岡大学/成蹊大学非常勤講師)
コメンテイター:折島正司
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(※ 科学研究費・基盤研究(B)ホームページより)
本基盤研究(B)は、「全体性」を志向する欲望と「部分」であることへの不安を刻印するモンロー・ドクトリンの普遍的な力学に注目しつつ、この言説がアメリカ文学・文化の空間的および時間的位相を定義づけてきた歴史的経緯をグローバルに検証する試みである。
今回は、アメリカの自然主義文学に焦点をあわせ、そこに頻出する動物の表象について考える。世紀転換期に隆盛を極めた自然主義とは、ダーウィニズムに加え、米西戦争が象徴するテクノロジーと帝国主義をその背景に持つ思潮であった。この時代、西漸運動が終わりを迎え、国内のフロンティアを失った米国は、その欲望のベクトルを南へ、そして太平洋へと転じていくことになる。そうした動きのなかで、機械より身体性を前景化する動物、物言わぬサバルタンとしての動物のうちに、自然主義作家たちは何を見出したのであろうか。
まず基調講演では、ノリスもロンドンも、人間と人間の区別・人間と動物の区別がそう上手ではないこと、だが二人には違いもあること、とりわけロンドンには人間と対等な個体としての犬がいること、そしてそれが競争的な個人主義イデオロギーの鮮明な形象化であることを、折島が論ずる。
その後はワークショップ形式とし、Jack London, The Call of the Wild, White Fang, and Other Stories (Oxford UP, 2009)より、上の表題に記した短編2作品を取り上げて、若手研究者3名にそれぞれの視点から分析を行って頂く。あわせて、フロアーからも活発なご質問、ご意見を頂ければ幸いである。
【関連リンク】
・ 科学研究費・基盤研究(B)ホームページ