2008/09/04

巽先生解説の、サイバーパンクの傑作『ディファレンス・エンジン』(上下巻)が、ついに早川書房より復刊!

1980年代電脳文化一般を席巻したサイバーパンクSFの旗手ウィリアム・ギブスンと党首ブルース・スターリングが1990年夏に発表した共作長編The Difference Engine。今でもSF読者やSF作家がベスト作品として挙げ、サイバーパンク史上にもスチームパンク史上にも残る至高の聖典である本書は、蒸気機関コンピュータが実現していた19世紀イギリスというとてつもないアイデアと、情感たっぷりの文学的ストーリーが盛り込まれた小説。

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そしてなんと!歴史改変SFの傑作である本書の邦訳文庫版『ディファレンス・エンジン(上巻)』『ディファレンス・エンジン(下巻)』が、早川書房より今月復刊されます!

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サイバーパンク運動が盛んであった1990年前後に、角川書店より邦訳初版ハードカバー版(1991年)、のちに文庫版も刊行された本書。長らく絶版になっていましたが、表紙も新たに再び登場!もちろん今回も、初版刊行当時の紹介から日本版解説まで関わられた巽先生が下巻の解説を担当。今回の解説は、1991年の邦訳初版ハードカバー版、のちの文庫版の解説も再録しつつ、最後に新たな解説を書き下ろしたもので、過去18年間における巽先生の3つのテクストが一気に収録されています。
また、膨大な数の実在した歴史的人物が登場する本書において、邦訳初版から行き届いたガイドブック『差分事典』を編纂したのは、昨年8月に慶應三田キャンパスで講演をしてくださった新鋭SF作家アイリーン・ガン氏。さらに今回の復刊に伴い、ガン氏編纂による『差分事典』の増補版も収録!

なお、上巻解説を担当するのは、今最も将来が嘱望されている実力・人気ともに兼ね備えた若手作家である円城塔氏と伊藤計劃氏。そしてなんといっても、両氏とも本書の大ファン!文学界新人賞でデビューして芥川賞候補にもなった円城氏は、本書のタイトルをもじった『Self-Reference ENGINE』(2007年)を出版しています。また、傑作『虐殺器官』(2007年)を発表して高く評価された伊藤氏は、本書をSFマガジンの巻頭コラム「My Favorite SF」で選定し熱く語ったことがあります。

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過去の歴史的事実と現在の先端的理論が巧みに絡み合い、最後には通常の歴史観をも超越した「もうひとつの世界」へ私たち読者を連れ去ってくれる歴史改変SF小説の魅力を、あなたも味わってみては?