2003/01/01

ALI PROJECT来校!


巽先生の『プログレッシヴ・ロックの哲学』で「プログレッシヴ・ロックの名盤20」にも挙げられた、幻想系音楽ユニットALI PROJECTが、慶應義塾大学文学部設置総合講座「情の技法」にゲストとして登場!「血と蜜」と題した公開講座を開催します。凝りに凝った衣装や精妙なアレンジに独自の美意識をつらぬく彼らが、「音楽と情」をテーマに西校舎を巨大な幻想空間へと変貌させます。もちろん演奏予定もアリ! 期待の公開講座に是非ご参加ください。

文学部総合講座「情の技法」公開講座「血と蜜」
講師: ALI PROJECT
日時: 5月27日(火) 10:40-12:10
場所: 三田キャンパス 西校舎ホール(518)
*参加自由・入場無料 
 くわしくは「情の技法」公式ページへ。

*追加情報*
こちらに当日の写真を掲載しています(6/4)


 欧米ロマン主義文学は、麻薬幻想に彩られた風景庭園を描写する。だが、詩人批評家サミュエル・テイラー・コールリッジらによって培われたそのようなピクチャレスクの伝統が、近代日本文学に移植される時、それがいわゆる「風流」の美学によって再構築されたことは、いくら強調しても足りることはない。
 エドガー・アラン・ポウを敬愛する我が佐藤春夫が小説化し、思想家アンリ・ベルグソンやマルティン・ハイデッガーに賞賛された哲学者・九鬼周造が理論化したこの風流美学の精神は、さらに今日ではわが国のプログレッシヴ・ロックのうちでも最も妖艶なユニット<蟻プロジェクト>に受け継がれた。
 だからわたしは、彼ら、すなわち、宝野アリカと片倉三起也の手になる名曲「幻想庭園」(1988)を、何度も何度も聴き返す――
 「黄金の空の下で 眠りについた廃墟の/
 隠された鉄の門が 追憶のようにひらく/
 秘境の花園は 神秘なる薫りであふれる
 それはかすかな郷愁 そして少しの悲しみ/
 私は言葉を失くし 幻想の中を歩く/
 角をもつ獣が 優しい目を向けて佇む」
――巽孝之『プログレッシヴ・ロックの哲学』「キメラの聖典 8.蟻プロジェクト『幻想庭園』」