2023/09/02

『三田文学』最新号(2023年夏季号)が絶賛刊行中です!

『三田文学』最新号(2023年夏季号)が絶賛刊行中です!本号は、四方田犬彦氏への特別インタビュー「越境する言語とアイデンティティ——四方田犬彦『戒厳』から」(聞き手:関根謙)を収録しています。加賀乙彦顕彰特別文学賞を受賞された四方田氏の『戒厳』を中心的な話題としつつ、今だから語れる四方田氏自身の韓国での経験や、多言語環境に生きるアイデンティティの問題などをお話しされています。また、本号にも「2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以降に書かれた詩」(原田義也訳)が収録されています。いまなお続くウクライナ侵攻の現実を生きる生の声がとどけられています。

今号から、新たに連載が二つ始まります。一つ目は、「リレーエッセー/詩から明日へ——詩が読めるということは」(暁方ミセイ)で、詩を「読むこと」ないし「読めること」について、詩作品と読み手の繊細な関係に光があてられています。新連載の二つ目は、「演劇随想/舞台の輝き——「めずらし」と「あたらし」の、復権を」(坂手洋二)で、坂手氏が上京された 1980年代の演劇界を振り返りつつ、演劇にあらためて求められるものとしての「めずらし」と「あたらし」、そして「批評の復権」が提示されています。

お馴染みの連載として、今号にも佐藤元状先生による映画評「電影的温故知新 [第二十回]」が掲載されてます。今回は、是枝裕和監督の『空気人形』を取り上げ、是枝監督が初期作品から問い続ける「死」の主題にあらためて注目し、そのエロスとタナトスの交錯を詳らかにされています。

河内恵子先生による書評「「あなたはあなたの人性を生きるはず」」は、チェ・ウニョン『ショウコの微笑』(吉川凪監修、牧野美加・横本麻矢・小林由紀訳)『わたしに無害なひと』『明るい夜』(古川綾子訳)を取り上げ、それぞれの作品に描かれる「人と人とのどうしようもなく哀しい関係」、とりわけ女性同士の連帯とそこに必ず存在する人と人との「距離」の哀しさを作品の解説をとおして明らかにされます。巽先生による書評「極東パッシング・ナラティヴ」は、上田早夕里『上海灯蛾』を取り上げ、1934年の「魔都」ないし「東洋のパリ」とも呼ばれる上海を舞台とした戦時上海三部作の完結編(第一作『破滅の王』、第二作『ヘーゼルの密書』)の読みどころを手に汗握るクライマックスとともにお教えくださいます。

ご関心のある方は、ぜひご一読ください!



『三田文学』
第 154号(2023年夏季号)
2023年 7月 12日
定価:1000円(税込)

【目次】
■巻頭詩
トランジット @HEL 四元康祐

■小説
エチュード 二〇二四 中島京子
夜を抱く 佐藤洋二郎
メル写真館の怪かい 滝口葵已
新世界 髙木智視

■詩
トッカータ 渡る指 北原千代

■インタビュー
越境する言語とアイデンティティ──四方田犬彦『戒厳』から 四方田犬彦
[聞き手]関根謙

■2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以降に書かれた詩 
[訳]原田義也
3月15日 オクサナ・オスモロフスカ
3月17日-18日・3月22日-23日 ナタールカ・フルサ
3月9日・3月5日 オレクサンドル・イルワネツ

■新連載
リレーエッセー/詩から明日へ——詩が読めるということは 暁方ミセイ
演劇随想/舞台の輝き——「めずらし」と「あたらし」の、復権を 坂手洋二

■連載
動かぬ時の扉 [第六回]第一部・完 辻仁成
琉球弧歌巡礼りゅうきゅうこうたじゅんれい [第八回]『仲風節なかふーぶし』『遊あしび仲風なかふー』 宮沢和史
東京日記 [第六回]アートとメトロ クリストフ・ペータース [訳]粂川麻里生

■浅草の笑い [第九回]
浅草芸人盛衰記 関東大震災と浅草 岡進平
大上こうじの浅草21世紀と浅草 大上こうじ

■文芸時評 [第九回]
文学の境界線ボーダーライン  〈多層〉で〈曖昧〉な境界を受け入れること 仲俣暁生

■短歌/随筆
歌評たけくらべ[第七回] 水原紫苑×川野里子

■俳句/随筆
融和と慰謝の俳句[第六回] 髙柳克弘

■映画評
電影的温故知新 [第二十回] 佐藤元状

■書評
チェ・ウニョン『ショウコの微笑』(吉川凪 監修 牧野美加・横本麻矢・小林由紀 訳)『わたしに無害なひと』『明るい夜』(古川綾子訳)河内恵子
上田早夕里『上海灯蛾』巽孝之
小池昌代『くたかけ』石橋直樹

新 同人雑誌評 加藤有佳織/佐々木義登
ろばの耳 添野博/西沢貴子/野本健太郎/ルスターホルツ友里

■イベントレポート
ハヤカワ高校生読書会始動 川﨑綾子/古川晴彦

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