2026/01/07

巽先生監修『映画で読み解く 現代アメリカ2——トランプ・バイデンの時代』が明石書店より刊行され、巽先生と冨塚先生がそれぞれ寄稿されています!

お知らせが大変遅くなりましたが、巽先生監修『映画で読み解く 現代アメリカ2——トランプ・バイデンの時代』が明石書店より刊行され、巽先生と冨塚先生がそれぞれ「はじめに」「さらば現実の砂漠よ——『マトリックス』四部作」と「一人の人間とアメリカにとっての「偉大な飛躍」——『ファースト・マン』」を寄稿されています!

本書『映画で読み解く 現代アメリカ2——トランプ・バイデンの時代』は、2017年から 2025年にいたる第一次トランプ政権からバイデン政権までの時代を直接的あるいは間接的に反映する映画を取り上げ、アメリカ社会の問題を掘り下げていくことを目的としています。四部構成、全 15本の論考が収録され、各章には少なくとも一つの「コラム」が掲載されています。第三部「デモクラシーの危機」に収録されている巽先生の論文「さらば現実の砂漠よ——『マトリックス』四部作」は、映画『マトリックス』をサイバーパンク映像の決定版に位置付けたうえで、まずは三部作を SF的想像力の文脈上で読み解き、最後に四作目『マトリックス・レザレクションズ』にいたるまでに見出される批判的意識を浮彫にされます。

また、第四部「新たな潮流」に収録されている冨塚先生の「一人の人間とアメリカのとっての「偉大な飛躍」——『ファースト・マン』」は、デイミアン・チャゼル監督『ファースト・マン』を、新鮮さを失ったかに見える宇宙開発の主題を近年の潮流とは逆行するような視座から取り上げニール・アームストロングという個人の喪失を物語化した特異な作品として位置付けつつ、それと同時にアメリカの伝統に深く根差した作品でもあることを、19世紀の思想家ラルフ・ウォルドー・エマソン「経験」とこのテクストをめぐる哲学者スタンリー・カヴェルの議論とを併置させることで明らかにしていきます。

ご関心のある方は、取り上げられている映画作品と併せて、ぜひご一読ください!



『映画で読み解く 現代アメリカ2——トランプ・バイデンの時代』
巽孝之監修、小澤奈美恵、塩谷幸子、塚田幸光編著
判型 4-6、288ページ
明石書店
2025年 4月 30日刊行
価格:2,700円+税
ISBN: 9784750359397

【目次】
はじめに(巽孝之)

Ⅰ ポスト・グローバリゼーションの世界
第1章 悲劇は喜劇、あるいはすべてが喜劇――『ジョーカー』[遠藤徹]
 [コラム]グローバルな格差を巡る様々な映画
 [コラム]ゾンビタウン「フィラデルフィア」――フェンタニルの悪夢
第2章 コロナ禍における孤独を描く――『ソングバード』[石塚幸太郎]
 [コラム]目的共同体としての抗議活動
第3章 移民問題に見る分断と壁――『ウエスト・サイド・ストーリー』[南波克行]
 [コラム]スピルバーグの生い立ちから見る移民

Ⅱ 人種とジェンダーの多様性 vs. 抑圧的政策
第4章 本棚からのメッセージ――『イコライザー2』[伊達雅彦]
 [コラム]BLM運動の影響
第5章 すべての野蛮人を根絶せよ――『私はあなたのニグロではない』[宗形賢二]
 [コラム]白人至上主義運動
 [コラム]BLM運動とリンクする表現者ジャネール・モネイ――奪われつつある人種的ルーツと性の警告
第6章 “RBG”はリベラル派のアイコン――『ビリーブ 未来への大逆転』[寺嶋さなえ]
 [コラム]文化戦争としての人工妊娠中絶――プロチョイス対プロライフ
第7章 イン・ビトウィーン・ジェンダーズ――『ムーンライト』[塚田幸光]
 [コラム]キリスト教福音派と「性」――『ある少年の告白』

Ⅲ デモクラシーの危機
第8章 ポスト・トゥルースの時代の報道の正義とは?――『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』[小澤奈美恵]
 [コラム]トランプ大統領のロシア疑惑と二度の弾劾裁判
 [コラム]トランプ大統領対ジョージア州検察――選挙を盗んだのは誰か
 [コラム]一月六日議会襲撃事件――威信を失った古きアメリカの反乱
第9章 さらば現実の沙漠よ――『マトリックス』四部作[巽孝之]
 [コラム]ポストヒューマン、シンギュラリティ、生成AI

Ⅳ 新たな潮流
第10章 ろう者の世界と聴者の世界をつなぐ架け橋――『コーダ あいのうた』[塩谷幸子]
 [コラム]人工内耳をめぐる議論
第11章 オッペンハイマーと原爆の応答責任――『オッペンハイマー』[岩政伸治]
 [コラム]『ゴジラ-1.0』ともう一つの戦後日本
第12章 食の政治学――『アメリカン・サイコ』『ハンニバル』[越智敏之]
 [コラム]移民と食の融合
第13章 エイリアンから学ぶ――『メッセージ』[鈴木繁]
第14章 一人の人間とアメリカにとっての「偉大な飛躍」――『ファースト・マン』[冨塚亮平]
 [コラム]エマソンの宇宙観
 [コラム]スペースXと宇宙開発
第15章 Z世代の青春とサブカルチャーの現在――『ブックスマート』『行き止まりの世界に生まれて』[成実弘至]
 [コラム]Z世代とファッション

おわりに

用語解説
引用・参考文献/参考映画
編著者紹介

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