ページ

2024/01/28

『三田文学』最新号(2024年冬季号)が絶賛刊行中です!

『三田文学』最新号(2024年冬季号)が絶賛刊行中です!本号は、生誕一二〇年をむかえた滝口修造を記念した特集が組まれ、本特集には、世代の異なる五人の創作者・書き手がそれぞれの視点から文章を寄せています。

お馴染みの連載として、佐藤元状先生による映画評「電影的温故知新 [第二十二回]」が掲載されてます。今回は、エドワード・ヤン監督『ヤンヤン 夏の想い出』が取り上げられ、「諦め」という視座から本作を分析されています。また、坂手洋二氏による「演劇随想/舞台の輝き——「舞台芸術」というジャンルの確立へ」も収録されています。日本の演劇に欠けているとされる演劇教育のうち重要視されるべきものとしての「舞台芸術」の重要性を、坂手氏の代表作『屋根裏』も具体例の一つに挙げながら説かれています。

書評欄では、河内先生による書評「「もどかしさ」の美学」(ナオミ・イシグロ『逃げ道』)が収録され、若手イギリス作家のデビュー短篇集『逃げ道』および第二作品を扱いながら、作品に通底する「もどかしさ」のありようを空間の閉塞感および開放感と関連させて明らかにされています。また、巽先生による書評「エルサレムの丘からエリコの丘へ」(コラム・マッキャン『無限角形 1001の砂漠の断章』栩木玲子訳)では、戦後イスラエルとパレスチナ間の分断と闘争およびその帰結としての悲劇を思索した本作の読みどころ、および本作の章構成と原型となっている『千夜一夜物語』そしてタイトルの「無限角形」(apeirogon)の関係性が詳説されています。

ご関心のある方は、ぜひご一読ください!



『三田文学』
第 156号(2024年冬季号)
2024年 1月 12日
定価:1000円(税込)

【目次】
■巻頭詩
世界の鳥は何を食べているかテレビ 小笠原鳥類

■小説
こんにちはアルルカン 嶽本野ばら
母は、ははは 岳真也
背に乗る者と草原をゆかん 小森隆司
聖夜 藤代淑子

■インタビュー
梢風家に生きて――『ゆれる階』を語る 村松友視 [聞き手]関根謙 [構成]久村亮介

■詩
龍宮 柏木麻里

■エッセー
敗戦まで、そして戦後 黒井千次
うちの旅人・元編集者 坂本忠雄 坂本貞枝

■特集 瀧口修造
「無詩」の痙攣――詩人瀧口修造 諏訪哲史
瀧をつくる カニエ・ナハ
遭遇と接吻とデカルコマニー、または見知らぬ人へのラブレター 川上雨季
蝶番の部屋──瀧口修造研究をめぐって 山腰亮介
略伝瀧口修造――シュルレアリスムの純金の鍵 笠井裕之

■座談会・浅草の笑い特別企画
浅草コメディアン史の生き字引に浅草の笑いを訊く 大上こうじ×真木淳×南出昭夫×岡進平
[構成]むう

■評論
果して遠藤文学は〝早く来すぎた〟のか ――生誕百年「2023周作忌」を終えて 加藤宗哉

■第四十回織田作之助青春賞
受賞作 とんぼ 石澤遥
選評 堂垣園江/藤野可織/増田周子

■連載
■対比列伝 作家の仕事場[第二回]
弱者の抵抗 安岡章太郎vs遠藤周作 前田速夫

■詩/リレーエッセー/詩から明日へ[第三回]
シコウスル運動体 藤原安紀子

■演劇随想/舞台の輝き[第三回]
「舞台美術」というジャンルの確立へ 坂手洋二

琉球弧歌巡礼りゅうきゅうこうたじゅんれい [第十回]『上り口説ぬぶいくどぅち・下り口説くだいくどぅち』沖縄民謡 宮沢和史

■短歌/随筆
歌評たけくらべ[第九回] 水原紫苑×川野里子

■俳句/随筆
融和と慰謝の俳句[第八回] 髙柳克弘

■映画評
電影的温故知新 [第二十二回] 佐藤元状

■連載
東京日記 [第八回・最終回] クリストフ・ペータース [訳]粂川麻里生

■イベントレポート
『鹿川は糞に塗れて』出版記念トークイベント報告 佐藤元状

■書評
王安憶『長恨歌』(飯塚容 訳) 茅野 裕城子
大谷朝子『がらんどう』 三村華
松浦寿輝『香港陥落』 久村亮介
ナオミ・イシグロ『逃げ道』(竹内要江 訳) 河内恵子
コラム・マッキャン『無限角形 1001の砂漠の断章』(栩木玲子 訳) 巽孝之
室井光広『エセ物語』 田中和生
大嶋岳夫『倒木蘇生』 滝口葵已

新 同人雑誌評 加藤有佳織/佐々木義登
ろばの耳 横山隆一/雨宮登美枝

【関連リンク】